
米国・イスラエルとイランの軍事衝突を機に、世界の石油の約20%が通過するホルムズ海峡は「事実上の封鎖」状態となり、原油・石油製品の供給不安が一気に強まっています。原油市場ではWTI原油が1バレル103ドル超、国際指標のブレント原油も112ドル台まで上昇。日本のガソリン価格や電気料金への波及が現実のものとなりました。
日本は輸入原油の約9割を中東に依存しており、ホルムズ海峡を経由するタンカーの通過減少が長期化した場合、企業収益の悪化や個人消費の押し下げにつながり、景気の下振れ要因になるとの指摘が出ています。日本や韓国は国家備蓄や多様な調達を背景に、短期的には在庫に一定の余裕があるとされますが、価格面の負担は避けられない見通しです。
実際、日本では3月16日にガソリン小売価格が1リットル190.8円と過去最高値を記録。政府は3月19日から緊急補助金を支給し、170円超過分を全額補助した結果、3月30日時点の全国平均は170円20銭まで低下しました。ただし補助金なしなら200円に迫る水準が続いている状況です。
アフリカや東南アジアなどの途上国では影響がより深刻です。国連貿易開発会議(UNCTAD)によると、アフリカには肥料輸送をホルムズ海峡に依存する国もあり、4月の作付けシーズンを前に肥料不足が食料生産を直撃するリスクが高まっています。
国連人道問題調整事務所(OCHA)も、コスト上昇と物流遅延がアフリカを含む途上国の国際人道支援に甚大な影響を与える可能性があると警告。エジプトでは実際に燃料価格の引き上げが発表されており、補助金に頼ってきた各国政府の財政への圧力も高まっています。
オーストラリアでも価格急騰 日本への影響も拡大
ホルムズ海峡の封鎖は、資源国であるオーストラリアにも深刻な影響を及ぼしています。ガソリン・軽油・ジェット燃料の3分の2超を輸入に頼る同国では、3月上旬に全国平均ガソリン小売価格が1リットル198豪セント(約220円)まで急上昇しました。
燃料不足への不安からパニック買いの動きもみられ、在庫切れのガソリンスタンドが増えています。アルバニージー首相は国民に公共交通機関の利用を呼びかけています。政府は3月30日、燃料税を4月1日から6月末まで半減させると発表し、1リットルあたり約28円の引き下げを実施しましたが、価格は再び上昇に転じました。
日本でも原油高が電力料金や製造業のコスト構造を直撃し、物価上昇圧力のさらなる高まりが懸念されます。中東情勢の長期化は、日本を含む世界経済全体にとって深刻なリスクとなっています。












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