3月に日本を訪れた外国人旅行者数が推計308万1,600人に達し、単月として初めて300万人を超え、過去最高記録を更新しました。1〜3月の外国人の消費額も1兆7,505億円に上り、四半期ベースでの最高額を記録しています。
政府は、この消費増加が円安の影響を受けたものと分析しています。岸田文雄首相はこの状況を受け、観光立国推進閣僚会議を開催し、今後の観光政策について議論しました。訪日客数の増加が続く場合、年間ではコロナ禍前の2019年の記録である3,188万人を超える可能性があります。
しかし、観光客が都市部に集中することによる地方への誘客促進や、オーバーツーリズム(観光公害)による住民生活への影響など、新たな課題も浮かび上がっています。過去の単月での訪日客最多記録は、2019年7月の299万1,189人でした。
ネット上では、「日本は消費力の高い観光を積極的に発展させるべき」「科学技術立国から観光立国へと退化させられて喜んでる場合か?」「最近外国人多いから慣れた」などの意見が寄せられています。
オーバーツーリズムとは?混雑や騒音、マナー違反が増加
日本全国で深刻化するオーバーツーリズム、つまり観光公害が、地域住民の日常生活に大きな影響を与えている現状が問題視されています。特に入国制限の解除に伴い、観光客の急増が見られ、生活に支障を来す混雑や騒音、マナー違反が増加しています。
こうした中、北九州市では観光DXを積極的に推進し、魚町銀天街にデジタル化された免税カウンター「PIE VAT Station」を設置。これにより、オーバーツーリズムへの対策を行いつつ、さらに観光客を呼び込む取り組みを進めています。
一方で、観光地の日常生活への影響は依然として深刻で、公共交通機関や商店街の混雑が進んでいます。特に救急車の遅延など、緊急時の対応に支障が出る事態も懸念されており、地元住民からは不安の声が上がっています。
加えて、観光地でのゴミのポイ捨て問題も深刻です。日本の多くの都市では、テロ対策や財政的な理由から公共のゴミ箱が減少しており、清潔な街並みを維持しようと「ポイ捨て禁止条例」が設けられています。
しかし、ゴミ箱の不足は外国人観光客にとって不便と感じられ、ポイ捨てを促す原因にもなっているのです。これらの問題は、日本各地でインバウンドの復活と共に顕在化しており、地方自治体や関連機関は観光客と地域住民が共存できる環境作りに向けて奮闘しています。