
クウェート国営石油会社(KPC)所有の超大型原油タンカー(VLCC)「アル・サルミ」が3月31日未明、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ港沖でイランの無人機攻撃を受けました。米国・イスラエルとイランの軍事衝突が続くなか、ホルムズ海峡周辺の緊張はさらに高まっています。
KPCによると、攻撃により船体が損傷し、火災が発生。ドバイ当局の海上消防隊が消火活動にあたり、無事鎮火しました。負傷者はなく、乗組員24人全員の安全が確認されています。
タンカーにはクウェートとサウジアラビア産の原油計200万バレルが積載されており、仕向け地は中国・青島でした。KPCは当初、周辺水域への原油流出リスクを警告しましたが、流出は確認されていません。同船は1カ月以上前に積荷を完了していたとみられ、ホルムズ海峡封鎖により湾内に足止めされていた状態でした。
2026年2月28日に米国・イスラエルがイランへの共同軍事攻撃を開始して以来、商船への攻撃が相次いでおり、今回もその一環です。ペルシャ湾では多数の船舶が密集して停泊を余儀なくされており、海上輸送の安全への不安が一段と高まっています。
攻撃報道を受け、米原油先物(WTI)は一時3ドル(約2.9%)超上昇し、1バレル105.91ドルを付けました。WSJはこの日、「ホルムズ海峡が閉鎖されたままでも米国はイランへの軍事作戦を終了する用意がある」と報じました。一方、海峡が開放されなければイランのエネルギー施設を攻撃すると大統領は警告しており、情勢は流動的です。
海上輸送リスクの増大と日本への影響
ホルムズ海峡は原油輸入の約9割を中東に依存する日本にとって死活的な要衝で、2023年の輸入量の約74%が同海峡を経由していました。日本船主協会によると、3月25日時点でペルシャ湾内に日本関係船45隻が足止めされており、日本人船員24名を含む約1,200名が乗船しています。湾内に滞留する商船は、全体で約1,000隻にのぼります。
イラン側は敵対国の船舶に対してホルムズ海峡の閉鎖を宣言しており、日本企業の間では喜望峰迂回ルートを検討中です。ただし輸送距離の増大は、コストとリードタイムの双方を押し上げる要因となります。
原油高は電力・ガソリン価格や製造業のコスト構造を直撃し、物価上昇圧力の一段の高まりが懸念されます。海上輸送の正常化に向けた外交努力が急務といえるでしょう。










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