カナダのBGOによって大阪リーガロイヤルホテルが再建 建物の改装費は約135億円

2021年秋、リーガロイヤルホテルの会議室でロイヤルホテル社長の蔭山秀一氏を前に、米国の投資ファンドのベントール・グリーンオーク(BGO)幹部が切り出しました。「いまこそ、われわれのリスクマネーがお役に立てる局面でしょう。ホテルの価値を上げるための提案をさせてもらいたい」として、BGOがリーガロイヤルホテル(大阪)を買収し、大規模な改装や戦略的な投資を進めようとしました。

金額の詳細は示していませんが、大規模な改装を予定しているということだけは判明。その場には、2023年6月にロイヤルホテルの次期社長への就任が決まっている現・代表取締役常務執行役員の植田文一氏、そして話を取り持ったロイヤルホテルのメインバンクである三井住友銀行の関係者も同席しています。

三井住友銀の関係者は「売却益で借金を返すことができ、財務内容も改善されるスキーム。投資にも注力できるものだった」と語っています。当初、蔭山秀一氏はBGOを警戒していましたが、「同じ船に」という言葉と同時に示された提案に魅力を感じ、前向きになったとのことです。

カナダのBGOはどんな企業?売却額とその概要

そもそもBGOは、カナダの大手生命保険会社グループ、サン・ライフ・ファイナンシャル傘下のプライベート・エクイティファンドを運営する企業グループです。日本市場では、これまで約7,000億円の不動産関連資産に投資しています。

また、音楽・映像事業のエイベックスの旧本社ビルといったオフィスビルの買収実績を重ね、数は累計100件近くにまで及びます。一方で、リーガ大阪が「新大阪ホテル」として誕生したのは昭和10年の頃で、地元政財界から待望論を受けていました。

40年にホテルの建物を新設したのを機に「大阪ロイヤルホテル」に改名。48年にタワーの宿泊棟を増築し、現在の姿になりました。

しかし、コロナ禍の打撃を受け、ロイヤルホテルの2021年3月期連結決算は最終損失が93億円と、5年ぶりの赤字に転落。これまでに不動産会社やファンドから建て替えや売却の打診がありましたが、多額の改装費用がハードルとなり、決定までには至らなかったそうです。

その点、BGOの提案ならハードルを満たすと判断しており、最終的に売却で資産を失うロイヤルホテルは運営受託に特化する流れとなりました。具体的な概要としては、「BGOがリーガ大阪の土地と建物を約500億円で買い取り、約135億円かけて建物を全面改装する」「リーガ大阪の名前は変えず、改装後も現在の形で運営する」となっています。

リーガロイヤルホテルの売却発表から約4ヶ月が経ち、5月12日にはロイヤルホテルの社長交代が発表されました。今後もリーガロイヤルホテルの動向を追っていきます​。

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