日本企業が海上原子力発電の開発に投資 震災リスクを軽減する新型原発に挑戦

日本の企業が海上の原子力発電所、いわゆる「浮体式原発」の開発に向けたプロジェクトに乗り出しています。今治造船、尾道造船など、全13社が英国の新興企業に約100億円を出資しました。

この浮体式の原発は地震の影響を受けづらく、さらに陸上型よりも建設コストを抑えることが可能です。グリーンエネルギーへの需要増を見越し、このプロジェクトによる実績を得た上で、日本でもこの技術の導入を視野に入れています。

浮体式原発の魅力は、海上ならどこでも設置可能であることです。さらに地震や津波の影響を受けにくく、得られた電力は陸地に送るだけでなく、水素やアンモニアなどの生成にも活用できます。

日本の企業が投資を行ったのは、英国の新興企業であるコアパワー社です。コアパワー社は、英国に本拠を構えるテクノロジー企業です。2018年に設立され、海事産業向けの先進的な原子炉技術の開発を行い、その配備を成功させてきました。

Microsoftの創業者であるビル・ゲイツ氏が出資する米テラパワーや、電力・ガス事業の米サザン・カンパニー、核燃料サイクルの仏オラノと共同で浮体式原発を開発しています。

浮体式原発は工場での大量生産が可能

浮体式原発は、地震や津波への対策として特別な構造物が不要で、工場で大量生産が可能であるため、建設コストや工期を大幅に削減できます。コアパワー社は、日本の造船技術に着目しており、浮体式の設備部分の開発に日本企業の協力を求めています。

2026年には実証船を稼働させ、2030年から2032年には商用化を予定。海外での実績を元に、日本でも浮体式原発を展開する計画です。実証船の開発をするまでに約500億円の費用が必要とのことで、この費用はコアパワー社など計4社で分担する見込みです。

日本は2月に閣議決定したGX実現に向けた基本方針で、次世代の革新的な原子炉の開発に取り組もうとしています。しかし、現状では立地する自治体の合意を得られず、さらには既存の原発を再稼働することも難しい状況にあります。

その点、浮体式原発は地震や津波のリスクを大幅に軽減でき、陸上原発よりも優位な可能性があるのです。ただし、海上での原発設置に関する審査や規制など、まだまだ多くの課題を抱えています。

コアパワー社への出資を決定した尾道造船の幹部は、「世界の最新技術の潮流に出遅れないようにしたい」とコメントしています。今後の浮体式原発の開発状況と、日本のプロジェクト参画に注目が集まります。

関連記事

コメントは利用できません。

最近のおすすめ記事

  1. 17日、離婚後も共同親権を可能にする改正民法が参院本会議で賛成多数により可決されました。これは、18…
  2. 米国のテクノロジー大手Googleは8日、生命活動の核心をなすたんぱく質やDNA、RNAなどの分子構…
  3. 米テスラの最高経営責任者(CEO)であるイーロン・マスク氏は23日、投資家向けの電話会議で開発中のヒ…

おすすめ記事

  1. 「発達障害の子どもたち 私立の小・中学校は適応できるのか?」ライター:秋谷進(東京西徳洲会病院小児医療センター)

    2024-3-24

    発達障害の子どもたち 私立の小・中学校は適応できるのか?

    発達障害は脳機能の発達の遅れと考えられ、マイペース、独特、天然などは脳の個性と考えられています。子ど…
  2. 「血液型って4つだけ?組み合わせによって種類は数百万」ライター:秋谷進(東京西徳洲会病院小児医療センター)

    2024-3-27

    血液型って4つだけ? 組み合わせによって種類は数百万

    お父さんの血液型がAB型、お母さんがO型。お子さんがO型ってことあるの?血液型は4つしかないの?私た…
  3. 2024-4-29

    『新潟市水族館 マリンピア日本海』の裏側に密着!災害時における安全管理の取り組みとは?

    令和6年の能登半島地震により、石川県の施設は甚大な被害を受けた。その復興の道のりのなかで、『のとじ…

【募集中】コンテスト

第5回ライティングコンテスト(東京報道新聞)

【結果】コンテスト

東京報道新聞第4回ライティングコンテスト (結果発表)

インタビュー

  1. ゴミ収集車の死亡事故による呼び捨てでの実名報道で訴訟を起こした品野隆史氏
    現在メディアでは、事件に関して疑いのある人の実名報道では「容疑者」を呼称でつけていますが、1989年…
  2. 青森県で協力雇用主として出所者の社会復帰を目指して雇用する企業「有限会社松竹梅造園」代表の渡辺精一様
    協力雇用主とは、犯罪や非行をした者の自立や社会復帰に向けて事情を理解したうえで就職先として受け入れる…
  3. 青森刑務所で受刑者に講話を行った受刑者等専用の求人誌「Chance!!」編集長・三宅晶子氏
    三宅晶子氏(株式会社ヒューマン・コメディの代表取締役)は、日本初の受刑者等専用求人誌「Chance!…
ページ上部へ戻る