
公正取引委員会は12月9日、インターネット動画のライブ配信活動を行う「ライバー」をマネジメントする事務所4社に対し、独占禁止法違反につながる恐れがあるとして注意を行いました。注意を受けたのは、いずれも東京都内に本社を置く「AEGIS GROUP」(渋谷区)、「Colors」(港区)、「321」(渋谷区)、「WASABI」(渋谷区)の4社です。
これら4社は、IT大手ディー・エヌ・エー(DeNA)が運営するライブ配信サービス「Pococha(ポコチャ)」で活動するライバーとのマネジメント契約において、契約終了後の一定期間、ライバーの事業活動を制限する規定を設けていました。具体的には、契約終了後数カ月から1年程度の期間、ライブ配信活動を行うことの禁止、他のライバー事務所との間でマネジメント契約を締結することの禁止、自社と同種の事業を営むことの禁止の全部または一部を内容とする規定が設けられていたとされます。
公取委は、これらの規定について合理的な理由が認められないにもかかわらず、ライバーの移籍や独立を牽制する目的で設けられたものと判断しました。こうした行為は、他のライバー事務所がより人気のあるライバーを容易に獲得できなくなったり、所属ライバーが契約終了後新たにライバー事務所を立ち上げることが困難になるなどの効果が生じる可能性があり、他のライバー事務所の取引機会が減少するような状態をもたらし、ライバー事務所間における公正かつ自由な競争に影響を与えるおそれがあると指摘しています。
公取委は、4社の行為が独占禁止法第19条(不公正な取引方法第12項「拘束条件付取引」または第14項「競争者に対する取引妨害」)の規定に違反につながるおそれがあるものとして、未然防止の観点から注意を行いました。なお、4社は公取委の審査の過程において、該当する規定の内容を見直す予定である旨の申出を行ったとのことです。
今回の4社は、Pocochaにおける取引額が上位のライバー事務所であり、それぞれ数千人以上のライバーが所属しているとされます。公取委は今回の措置を受けて、市場への影響などを勘案して未然防止を図る注意が相当と判断しました。
芸能界全体への影響と今後の対応
今回の公取委による注意は、ライバー業界だけでなく、芸能界全体における取引の適正化に向けた動きの一環として位置づけられます。公取委は2025年9月30日に「実演家等と芸能事務所、放送事業者等及びレコード会社との取引の適正化に関する指針」を策定・公表しており、この指針の考え方を踏まえて今回の調査が行われました。
同指針では、実演家と芸能事務所との間の契約において、契約条件の明確化や十分な協議の必要性が強調されており、特に契約終了後の活動制限については、合理的な理由がない場合は不当な拘束となる可能性があることが示されています。今回の注意は、この指針に基づいた具体的な取り締まりの事例となります。
公取委は今後も、本件と同様に関連する分野における独占禁止法上問題となり得る行為に接した場合には、実態調査報告書及び指針を踏まえ、厳正かつ的確に対処していくとしています。これにより、ライバー事務所や芸能事務所は、所属タレントやライバーとの契約内容を見直し、より公正で透明性の高い取引関係を構築することが求められることになります。












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