所得1億円超の「億万長者」3.8万人に到達、10年で倍増 株高と不動産高騰が追い風

所得1億円超の「億万長者」3.8万人に到達、10年で倍増 株高と不動産高騰が追い風

国税庁が2025年に公表した統計年報により、2024年分の確定申告において所得1億円を超える高額所得者が3.8万人に達したことが明らかになりました。この数字は2014年分の1.7万人から10年間で倍増しており、いわゆる「億万長者」が4年連続で増加し続けています。近年の株価上昇と不動産価格の高騰が、富裕層の資産形成を後押ししている状況が浮き彫りとなりました。​

国税庁の統計年報によると、2024年分の所得について2025年に確定申告を行った人は全国で約2336万人でした。このうち所得1億円超の高額所得者は3.8万人で、確定申告者全体の約0.16%という極めて限られた層です。内訳を見ると、所得1億円超から2億円以下が2.5万人、2億円超から5億円以下が0.9万人、5億円超が0.4万人となっています。​

高額所得者が増加した主な要因は、近年の金融市場と不動産市場の好調な推移にあります。2024年の日経平均株価は前年末比で6430円、率にして19.2%上昇し、2年連続での大幅高となりました。7月11日には4万2224円の史上最高値を記録し、年末終値も35年ぶりの最高値を更新しました。2024年1月には約34年ぶりの高値を付け、月間の上昇率は8.43%に達するなど、年初から株式市場は活況を呈していました。​

不動産市場でも同様の上昇傾向が見られます。国土交通省が公表した2024年の公示地価は、全国平均で前年比2.3%上昇し、前年の1.6%から上昇幅が拡大しました。用途別では住宅地が前年比2.0%、商業地が3.1%それぞれ上昇し、3年連続で上昇が加速しています。三大都市圏では全用途平均で前年比3.5%の上昇となり、特に商業地は5.2%の大幅な伸びを記録しました。​

高額所得者の所得構成を見ると、給与や事業所得だけでなく、株式や不動産の売買による「譲渡所得」が大きな割合を占めています。朝日新聞の報道によれば、働いて得る所得よりも資産運用から得られる所得の伸びが大きかったとされています。富裕層・超富裕層の所得内訳データでは、上場株式等の譲渡所得が14.4%、非上場株式等の譲渡所得が27.4%、分離長期譲渡所得が21.3%を占め、株式関連の譲渡所得だけで合計40%を超えています。​

確定申告が必要となるのは、事業経営者や年収2000万円超の会社員などで、高額所得者の大半がこの手続きを行っています。今回の3.8万人という数字は、保有資産額ではなく年間の所得金額に基づいたものです。​

地域別に見ると、所得1億円超の高額所得者は東京都に約1万5397人(全体の約4割)が集中しており、神奈川県が約3386人、大阪府が約2513人、愛知県が約2326人と続いています。特に所得100億円超の超高所得者層では、東京都が33人と半数を占める一方、愛知県が9人で大阪府の5人、神奈川県の5人を上回り全国2位となっており、製造業のオーナー経営者が多い地域特性が反映されていると見られます。​

「1億円の壁」問題と富裕層への課税強化

高額所得者の増加に伴い、日本の税制における「1億円の壁」という問題も改めて注目されています。これは所得金額が1億円を超えると所得税の負担率が逆に下がる傾向を指す俗称です。給与所得や事業所得には累進課税が適用され最高税率45%となる一方、株式譲渡所得などの金融所得は分離課税で一律約15%の税率が適用されるため、高所得者ほど金融所得の割合が高くなり、実効税率が低下する現象が生じています。​

この問題に対処するため、政府は2025年1月から「ミニマムタックス」と呼ばれる新制度を導入しました。基準所得金額が3.3億円を超える場合、最低でも22.5%の税負担を求める仕組みです。ただし実際に影響を受けるのは年間所得が30億円程度以上の超富裕層とされており、所得1億円超の3.8万人のうち、ごく一部が対象となる見込みです。​

今後も株式市場や不動産市場の動向次第では、高額所得者のさらなる増加が予想されます。一方で税負担の公平性を確保するための議論も継続されており、富裕層への課税のあり方は引き続き重要な政策課題となりそうです。

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