
2025年11月1日(土)、神奈川県横浜市港南区の横浜刑務所で「第53回横浜矯正展」が開催されました。今年も横浜刑務所、横浜少年鑑別所、公益財団法人矯正協会刑務作業協力事業部の主催により実施され、多くの来場者で賑わいました。
昨年はあいにくの雨でしたが、今年はお天気にも恵まれ、10時の開場前から長蛇の列ができるほどの盛況っぷり。来場者は刑務所内部を見学し、受刑者が製作した高品質な製品を手に取り、普段は触れることのない矯正行政を身近に感じることができました。
<目次>
横浜刑務所について

横浜刑務所は、法務省矯正局の関東矯正管区に属する刑務所で、主として26歳以上の犯罪傾向の進んだ男性受刑者を収容しています。所管する支所として横須賀刑務支所・横浜拘置支所・小田原拘置支所・相模原拘置支所の4か所があります。
全国の刑務所で唯一製麺工場を有しており、1998年10月に完成した製麺工場(第4工場)では、細うどん、中華麺、ひやむぎなどの乾麺を製造しています。2022年4月からは新商品として「横浜刑務所で作ったパスタ」の開発に着手し、2023年4月から販売を開始。うどんと同じ製法を活用したフェットチーネタイプのパスタは、もちもちとした食感が人気を博しています。
開場前から続く長蛇の列

港南中学校吹奏楽部による華やかなファンファーレが響く中、第53回横浜矯正展が幕を開けました。

開場前から横浜刑務所の入口には長蛇の列が形成されていました。

多くの来場者のお目当ては「乾麺パスタ」。

開場からわずか数分後には既に長い列ができており、その後も途切れることなく来場者が並び続けました。筆者が13時過ぎに取材を終えて購入に向かった際も、30分ほどの待ち時間が必要でした。
大人気「横浜刑務所で作ったパスタ」の魅力

横浜矯正展を訪れた全員が買って帰る、と言っても過言ではないほど大人気の「横浜刑務所で作ったパスタ」。

全国の刑務所で作られ、市販されている「刑務所作業製品」3200点のうち、「横浜刑務所で作ったパスタ」は、売上高で2位(2023年度)を記録するほどの人気っぷり。

他にも中華めんや細うどん、干しひらめん、ひやむぎが売られていました。

細うどんは鍋の〆にもおすすめなんだとか。

ブース前には、各種麺のアレンジレシピが掲示されておりました。

購入制限は全5種類で各5点まで(最大合計25点)となっていましたが、多くの来場者がカゴいっぱいになるまで購入している様子が見受けられました。取材中には「二人で来ているので、パスタ10個買っても大丈夫ですか?」という夫婦の声も聞こえ、その人気ぶりが伺えました。

会場では細うどんの実食販売も行われており、筆者も食べてみました。

もちもちとした食感と喉越しの良さが印象的で、子供から大人まで誰でも美味しく食べられるうどんでした。
洗浄力抜群「ブルースティック」はもはや横浜矯正展の名物!?

パスタと並んで人気を集めたのが、横須賀刑務支所で製造される洗濯石けん「ブルースティック」。2023年度には刑務所作業製品の売上高で堂々の1位を獲得した、まさに矯正展の看板商品と言える存在です。

横須賀市のふるさと納税返礼品にも採用されており、このブルースティックを目当てに横浜矯正展を訪れる人も多いそうです。

今回の矯正展では、除菌剤が2倍になった「ブルースティック PREMIUM」と、オレンジオイルが2倍になった「オレンジスティック PREMIUM」が初登場し、多くの来場者が購入していました。

豊富なラインナップがあり、製品ごとに得意な汚れが異なることも特徴です。

筆者も試しに購入して使用してみたところ、落ちにくい襟汚れに効果抜群でした。横浜矯正展を訪れる際には、ぜひお土産として購入することをおすすめします。
普段見られない刑務所内部を見学

横浜矯正展の目玉コンテンツの一つが「横浜刑務所施設見学」です。

午前の部、午後の部で各400名ずつの受付を行っていますが、整理券配布から30分ほどで受付が終了するほどの人気ぶりでした。

筆者も受刑者が実際に刑務作業を行う工場や作業場を見学させていただきました。
見学時にはスマートフォンやカメラの使用が禁止されているため写真での紹介はできませんが、特に印象的だったのは浴場の見学です。使用できるお湯の量が厳格に定められており、刑務官の説明によると「国民の税金を無駄にしないため、光熱費は厳しく管理している」とのことでした。

刑務所の一部居室には液晶テレビが完備されており、受刑者の余暇時間にテレビ視聴が許されています。
人によってこの環境を「快適そう」と感じるか「必要最低限」と感じるかは異なるため、同行者と意見交換をしながら見学するのも興味深い体験となるでしょう。
2025年6月1日に施行開始された「拘禁刑」について学ぶ

会場には刑務所の取り組みや刑法について学べるブースも設置されていました。

特に多くの掲示があったのは、2025年6月1日に施行開始された「拘禁刑」についてです。
拘禁刑は従来の「懲役」と「禁錮」を一本化した新しい刑罰制度で、受刑者を刑事施設に収容し、個々の状況に応じて「作業」や「指導」を柔軟に行うことで、改善更生と社会復帰の促進を目指しています。

様々な資料が分かりやすく掲示されており、刑法・刑事収容施設法改正によってどのような変化が生まれるのかを理解できるように工夫されていました。
品質の高さに驚きの声!全国の刑務所作業製品が一堂に

横浜矯正展では、横浜刑務所の敷地内にある常設の「刑務所作業製品展示場」も一般開放されました。

展示場では全国各地の刑務所で製作された多種多様な製品を実際に手に取って見ることができ、気に入った商品をその場で購入することも可能です。

品質の高さに驚く声が、あちこちから聞こえました。

特に注目を集めていたのが、函館少年刑務所で作られている「マル獄シリーズ」の布製品です。濃紺の帆布に大きく「○獄(まるごく)」の屋号が描かれたデザインは、2006年に展示販売でのPR効果を狙って作られた前掛けから始まりました。

市内のデパートで販売したところ、年配の方からは「なつかしい」、若い女性からは「かわいい」と大好評を博し、今では作ればたちまち売れてしまう人気ブランドだそうです。

現在は前掛けや手提げ袋、小袋に加えて、レトロ調シリーズも含めて約100種類の商品がラインナップ。

函館少年刑務所では1869年の開庁以来培った技術で、民間企業からの受注による作業服やユニフォームの製作も行っており、その高度な技術力が高品質な商品の背景となっています。

他にも、ハンカチなどの小物、革靴や木彫りの装飾品、陶器類、さらには本格的なレザーソファまで展示されており、その製品の幅広さには目を見張るものがありました。





記念撮影ブースや体験して学べるコーナーも充実

記念撮影や刑務作業が体験できるコーナーでは、更生保護マスコットキャラクター「更生ペンギンのホゴちゃん」がお出迎えし、来場者との記念撮影が行われていました。

また、刑務官のコスチュームや帽子を着用して記念撮影ができるブースもありました。

撮影した写真はその場で缶バッジに加工してもらえるサービスもあり、特に家族連れに人気を集めていました。

来場者が実際の刑務作業を体験できるコーナーも設けられていました。

刑務官の指導のもと、紙袋製作や木札製作などを通じて、受刑者が日々行っている作業について学ぶことができる場となっていました。

参加者は刑務官の丁寧な指導を受けながら、一つ一つの工程を体験していきます。

小さな女の子がお母さんと楽しそうに話しながら作業をしていると、「刑務作業中は私語は厳禁ですよ!」と刑務官に優しく注意される場面もあり、実際の刑務作業の厳格さを垣間見ることができました。

法務少年支援センターなどで活用されている実際の心理検査「PECO-P」の体験も人気でした。

5分程度で回答できる質問に答え、その結果がグラフで表示されます。
筆者も実際に体験してみましたが、検査結果には「明るく社交的で、積極的に物事に取り組んでいく行動力のある人によくみられる回答傾向です」との分析が記載されており、自分の性格を客観視する興味深い機会となりました。

こうした体験を通じて、矯正行政の取り組みをより身近に感じることができるのも横浜矯正展の特徴です。
横浜矯正展グルメを満喫!

横浜矯正展では刑務所作業製品の販売だけでなく、地域の飲食店や団体による多彩な出店も大きな魅力です。

神奈川県BBS連盟のブースでは、つきたてのお餅を販売していました。

BBS(Big Brothers and Sisters movement)は、悩みを抱える子どもたちの兄や姉のような身近な存在として、更生を支えるボランティア団体です。法務省の行う更生保護事業を保護司会、更生保護女性会とともに協力して行ってます。

ホルモン酒場いっしんのブースでは、ホルモンたっぷりの焼きそばを販売していました。

筆者も食べてみたかったのですが、人気が高く早々に売り切れとなってしまい、その美味しそうな香りを嗅ぐだけに終わってしまいました。

飲食店ブースが多数立ち並ぶ中でも、特に注目を集めたのが横浜曙町の人気ラーメン店「麺屋M」。

横浜矯正展限定の「真鯛そば」は開場直後から長蛇の列を作り、多くの来場者が待ち時間を惜しまず並んでいました。

麺屋Mでは真鯛そばに加えて、牡蠣とホタテの串焼きも販売。
こうした地元の人気店の出店も、地域密着型の横浜矯正展ならではの魅力と言えるでしょう。
地域に開かれた矯正展の意義とは

横浜矯正展は、単なる刑務所作業製品の販売イベントを超え、地域住民が矯正行政について理解を深める重要な機会となっています。
注目すべきは、多くの来場者が単なる「珍しいもの見たさ」を越えて、製品そのものの品質を評価していることです。「横浜刑務所で作ったパスタ」が売上高全国2位を記録したのも、最初は話題性で手に取った人たちが「本当に美味しい」と口コミで広げていった結果でしょう。
受刑者にとって、自分が作ったものが本当に評価され、リピーターまで生まれるという経験は、技術への誇りや社会復帰への自信につながる貴重な体験になっているはずです。
本記事をご覧の皆さんも、ぜひ来年足を運んでみてください。
横浜刑務所の基本情報
所在地
〒233-8501 神奈川県横浜市港南区港南4-2-2
交通手段
●京浜急行上大岡駅徒歩15分
●市営地下鉄港南中央駅徒歩10分
TEL 045(842)0161
横浜刑務所
https://www.moj.go.jp/kyousei1/kyousei05_00081.html






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