AI研究の第一人者ジェフリー・ヒントン氏がAIの危険性指摘のためGoogleを退社

人工知能(AI)を研究する第一人者としてGoogle副社長を務めていたジェフリー・ヒントン氏は1日、自身のTwitterで同社を退社したことを発表しました。想定より遥かに速くAIが人間よりも賢くなる可能性があるとし、「会社への影響を気にせず、AIの危険性について発言するためだ」と退社の理由を説明しています。

この一件を受け、米紙ニューヨーク・タイムズはジェフリー・ヒントン氏にインタビューを実施。いま話題のChat GPTや画像生成AIについて、「何が真実なのか分からなくなる」世界を作り出すことに懸念し、さらに「悪用をどのように防げばいいのか見当がつかない」と語りました。

そして「AIが実際に人間よりも賢くなるという考えは一部の人の間で信じられていたが、大部分の人は遠い未来の話だと考えていた。私自身も30年、もしくは50年以上先の話だと思っていた。いまはそのように考えていない」と述べています。そのほか、「生成AIが奪う仕事は単純作業にとどまらないかもしれない」と、雇用に大きな影響を与える可能性があるとも指摘しました。

なお、ジェフリー・ヒントン氏はGoogleのことを、AIへの対応で「責任を持って行動した」と評価しており、同社を批判するために退社したわけではないと説明しています。

Chat GPTや画像生成AIの普及により、将来的な規制をめぐる懸念が高まっています。多くの専門家が「AIを規制すべきだ」という発言を行っているほか、AIの開発を最低6ヶ月間は停止すべきという活動に著名人が署名するなど、AIに関する反対活動が各所で推進されています。

G7デジタル相会合で「AIの適切な活用」について議論される

先進7ヶ国(G7)デジタル・技術相会合は4月29日、群馬県高崎市で2日間の日程で「AIの適切な活用」について議論しました。その議論では、AIが社会に与える影響は大きいとし、「責任あるAI」の推進などを盛り込んだ共同声明がまとまりました。

日本からは、松本総務相、西村経済産業相、河野デジタル相が出席。AIや次世代半導体など、新しい技術のルール整備で各国は5つの原則に合意しました。

  1. 法の支配
  2. 人権尊重
  3. 適正な手続き
  4. 民主主義
  5. 技術革新の機会の活用

急速な技術革新に規制が追いつかなければ、技術の乱用につながりかねないとの危機感があるとし、AI技術の規制について話し合われました。今後もAIに関する議論が随時行われると予想されます。

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