
3月28日にミャンマー中部を襲った大地震の犠牲者数が急増し、軍事政権の発表によれば死者2056人、負傷者3900人超に達しました。31日午後には、生存率が急激に低下するとされる「72時間の壁」を超え、被害はさらに拡大しています。
マンダレー周辺では建物の倒壊が相次ぎ、多くの不明者が瓦礫の下敷きになっていると考えられています。日本政府も林芳正官房長官が31日の会見で、日本人2名の負傷と1名の安否不明を確認しています。
日系企業への影響については、三菱商事とJALUXが運営するマンダレー空港の被害状況調査が進行中で、主要幹線道路にも損傷が確認されています。一方、ヤンゴン近郊のティラワ工業団地は震源から600キロ離れており、進出している50社以上の日系企業に大きな被害は報告されていません。
2021年のクーデター以降、国際的に孤立してきた軍事政権は今回、異例の国際支援要請に踏み切りましたが、内戦で統治能力が低下している上、重機など救助機材の不足も深刻で対応は難航しています。
被災地一帯では家屋や商業施設、銀行などが崩壊し、今なお全容把握は困難な状況が続いています。
ミャンマー地震の惨状、現地からの映像と証言が明らかに
ロイター通信が配信したマンダレー市内の映像では、建物の崩壊や道路に散乱した瓦礫、立ち上る煙など、被害の深刻さを物語る光景が捉えられています。さらに、市内の建物は約4分の1が被害を受けたとの証言もあり、病院機能の停止や避難生活を強いられる被災者の厳しい状況が浮き彫りになっています。
2021年のクーデター以降、医師や看護師など若者が海外に流出していることで、復旧・救助に必要な人材不足も深刻化。限られた医療資源の中で対応に苦慮する医療従事者の悲しみも伝えられています。
隣国タイ・バンコクでも高層建設中のビルが倒壊しました。倒壊した高層ビル現場では、家族や友人の安否を案じる人々が集まり、救助活動を見守っています。
ある女性は地震発生時に23階で作業中、激しい揺れの中を辛うじて避難できましたが、同じビルで働いていた夫との連絡が途絶えたまま。
別の女性は、26階で電気工事をしていた夫や息子を含む6人の安否が不明で、SNSのメッセージも既読にならないと不安を語っています。マンダレーの被害状況と合わせ、この大地震が残した人々の苦悩は計り知れません。