新型コロナウイルスの感染拡大以降、4年ぶりにフィリピンで開催された日本を目指す看護師向けの面接会で、応募者が過去最少となる17人にとどまったことが明らかになりました。この状況は、医療人材獲得の国際競争の厳しさを象徴しています。
日本は2009年以降、経済連携協定(EPA)に基づきフィリピン人看護師を毎年受け入れており、これまでには660人以上が看護師として就労しています。しかし、新型コロナウイルスの影響で欧米を中心とした医療人材の獲得競争が激化している中、円安や言葉の壁などが影響して応募者数が減少したと見られます。
フィリピン国内では、賃金の低さなどから看護師の約3分の1が海外で働いていると言われており、国際的な人材獲得の競争は一層の厳しさを増しています。フィリピン人看護師を受け入れている医療法人の採用担当者は、「応募者が非常に少なく衝撃を受けた」と述べ、その現状を明らかにしました。
一方、面接会を主催した国際厚生事業団の片岡佳和専務理事は、「人材の獲得競争は厳しくなっていると感じる。われわれも力を入れたい」との意向を示し、フィリピン当局と協力し、人材確保に向けた取り組みを強化する考えを明らかにしました。
看護師が不足する理由とは?介護士も人材不足
看護師と介護士の人材不足が深刻化しています。特に看護師は、医療現場で必要とされる高度な言語能力のハードルと、円安による収入の目減りが要因とされています。
収入の目減りが見込まれる日本において、就労したいと考えるフィリピン人が減少しているのかもしれません。同じく介護士も人材不足の状況にあり、政府は施設での外国人労働者の受け入れを推進していますが、自宅訪問サービスは指導体制の確保が難しく、現状では対象外となっています。
一方、厚労省では人手不足解消に向け、自宅訪問サービスの解禁議論が始まりましたが、「できる仕事を拡大したとしても、そもそも人が来なければ無意味」との声も上がっています。
これは、日本が人材を確保するためには、さまざまな課題を克服する必要があることを示しています。ネット上では「今働いてくれている日本人スタッフを大事にすべきでは?」「海外から呼ぶのも必要だが、まずは国内の看護士、介護士の給料アップと労働環境整備が先だと思う」などの意見が寄せられています。