楽天とAST、巨大アンテナ衛星でD2C高速化へ スペースXとの競争が本格化

AST SpaceMobile(ASTスペースモバイル)が、スマートフォンと衛星を直接つなぐ「Direct to Cell(D2C)」分野で着実に前進しています。ASTは2025年12月、インドISROのLVM3ロケットで次世代通信衛星「BlueBird 6」の打ち上げに成功。さらに2026年2月10日には、軌道上での大型アンテナの展開成功を発表しました。
BlueBird 6が搭載するフェーズドアレイアンテナは約2400平方フィート(約223平方メートル)と、低軌道の商業衛星としては過去最大級です。最大120Mbpsのピーク通信速度を想定した設計で、従来のBlueBird 1〜5シリーズと比べ最大10倍のバンド幅容量を持ちます。
従来の衛星通信と異なり、D2Cは市販のスマートフォンをそのまま使って通信できる点が特長です。スマホ側のアンテナや送信出力を変えられないため、高速化には衛星側アンテナの大型化が鍵とされています。
楽天モバイルはASTの早期出資者であり、2020年3月に締結した戦略的パートナーシップのもと、長期にわたり連携を深めてきた経緯があります。2025年4月には国内で初めて、低軌道衛星と市販スマートフォンによるビデオ通話試験に成功しました。
こうした実績を背景に、楽天モバイルはASTと提携して「Rakuten最強衛星サービス Powered by AST SpaceMobile」を展開。2026年第4四半期(10〜12月)の国内サービス開始を目指しています。山間部や離島など、地上ネットワークが届きにくい地域でも日常利用レベルの通信環境を提供することが期待されています。
ASTは2026年末までに45〜60機の衛星打ち上げを計画しており、BlueBird 6のアンテナ展開成功はその本格展開に向けた第一歩となりました。
KDDIはスペースXと テキスト中心からデータ通信へ
国内のD2C市場では、KDDIが米SpaceXと組んだ「au Starlink Direct」を2025年4月に開始。国内で初めて衛星とスマートフォンの直接通信を実現しました。空が見える場所であれば圏外でもSMSなどテキストメッセージの送受信が可能です。SpaceXは高度約340kmにD2C専用衛星を配備し、スマホとの直接通信を実現しています。
その後、2025年8月にはデータ通信へも対応が拡張され、地図や天気など対応アプリの利用も可能になりました。2026年1月には国内接続エリアが2倍に拡大するなど、機能拡充が続いています。山間部・離島や、災害時の一時的な基地局の障害時にも、スマホ単体での衛星通信が現実的な選択肢となりつつある状況です。
BlueBird 6を軸とするAST陣営と、Starlink網を先行展開するSpaceX陣営が、日本市場で「どこでもつながる」だけでなく「どれだけ速く使えるか」を競う段階に入っています。












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