
九州大学と神戸大学の研究グループは2026年2月13日、連星ブラックホールから放出される重力波を量子力学的に解析し、そこに量子性が存在することを世界で初めて明らかにしたと発表しました。この成果は、重力を伝える未発見の素粒子「グラビトン(重力子)」の発見につながる画期的な一歩として、世界中の物理学者から注目を集めています。
研究を行ったのは、九州大学大学院理学研究院の菅野優美准教授、神戸大学大学院理学研究科の早田次郎教授、九州大学大学院理学府博士課程1年の谷口彰氏らの共同チームです。研究成果は米国物理学会が刊行する権威ある学術誌「Physical Review Letters」に2026年2月12日付で掲載されました。
アインシュタインが提唱した一般相対性理論では、重力は空間の歪みとして記述されます。しかし、この理論はミクロの世界を支配する量子力学との相性が極めて悪く、重力を量子論の枠組みで統一的に説明する「量子重力理論」はいまだ完成していません。自然界に存在する4つの力(電磁気力・強い力・弱い力・重力)のうち、電磁気力を媒介する光子、強い力のグルーオン、弱い力のウィークボソンはすべて発見されていますが、重力を媒介するとされるグラビトンだけが未発見のまま残されています。
かつてアインシュタインは、光が粒子として振る舞うことを「光粒子仮説」で提唱し、ノーベル物理学賞を受賞しました。光子の存在確認が現在の量子力学の基礎を築いたように、グラビトンの発見は物理学に大変革をもたらすと期待されています。
今回の研究では、すでに確立されている電磁場の量子論を重力に応用するという手法が取られました。研究グループは、連星ブラックホールが生成するグラビトンの量子状態を定量的に評価し、古典的な重力波に最も近い「コヒーレント状態」からのズレが10のマイナス4乗のオーダーで存在することを突き止めました。このズレは、重力波が完全な古典的波動ではなく、量子的な性質を含んでいることを示唆しています。
量子重力理論の構築へ「確実な一歩」 今後の展望
研究グループは今回の発見について「グラビトンの発見に迫るための画期的なステップ」と位置づけています。観測不能と考えられていた重力の量子効果が、実は定量的に評価できるレベルで潜んでいることを示した点で、量子重力理論への確実な前進を意味します。
今後の課題としては、今回理論的に示された「スクイーズド状態」を実験的に検証するため、「ハンブリー・ブラウンとトゥイス型」と呼ばれる強度干渉計を用いた重力波観測が必要になると指摘されています。さらに、この成果は初期宇宙のインフレーション期に生成されたと考えられる原始重力波の量子性検出にも応用できる可能性があります。
菅野准教授は「この研究が、将来グラビトンの発見につながれば嬉しいです」とコメントしており、もしグラビトンの存在が確認されれば、重力をはじめとする宇宙の謎の解明が飛躍的に進むことが期待されます。


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