
国内初となる民間ロケットが宇宙空間に到達してから8年が経過し、北海道の宇宙開発はかつて「夢」とされていた領域から、着実に「ビジネス」へと変貌を遂げています。
2025年10月、帯広市で開催された「北海道宇宙サミット」には、多くの企業や自治体関係者が集結し、宇宙ビジネスを次世代の産業として本格的に取り込む動きが加速しました。会議では宇宙政策や商業宇宙港の標準化、地域での人材育成など多彩なテーマの講演・討論が行われ、宇宙産業の現状と未来について活発に議論されました。
ヤマハが展示したVR人力飛行機シミュレーターは、大阪・関西万博でも好評を博し、宇宙関連の操縦訓練にも応用が期待されています。当日は、北海道経済連合会の藤井裕会長や鈴木直道知事も来場。知事は「道内企業の参入を促し、地域の利益につながるサプライチェーン構築を支援する」と表明し、地域経済の活性化と雇用創出への期待も高まっています。
また、2025年6月にはホンダが北海道大樹町にある専用施設で、小型の再使用型ロケット実験機の離着陸試験に成功。アメリカのスペースXが13年かけて実現した技術に、わずか6年で追いついた点も話題となりました。先端技術と地域産業が一体となった挑戦に、国内外から注目が集まっています。
急成長する宇宙ベンチャーと地域連携の広がり
インターステラテクノロジズ社(IST)は道内発の宇宙ベンチャーとして、人工衛星打ち上げ用ロケット「ZERO」の開発を進めています。エンジンの部品開発と、今年度実施される試験がプロジェクトの山場とされています。この開発にはトヨタ自動車も支援企業として参画しており、2025年1月にトヨタ系企業ウーブン・バイ・トヨタとの資本業務提携を締結しました。
北海道広尾郡大樹町に整備中の「北海道スペースポート(HOSPO)」では新たな発射場の建設が進行中で、ZEROは2028年3月までに打ち上げられる見通しです。HOSPOは2021年に本格稼働した日本初の民間商業宇宙港で、垂直打ち上げロケットからスペースプレーンまで多様な打ち上げに対応できる複合型宇宙港です。
制度面・産業面の整備が進みつつあり、北海道の宇宙産業は2026年以降、さらなる飛躍が期待されます。












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