
日本銀行は3月19日に開いた金融政策決定会合で、無担保コール翌日物金利の誘導目標を「0.75%程度」で据え置くことを決めました。2025年12月に利上げを実施して以降、据え置きは2会合連続です。
日銀は中東情勢の緊迫化に伴う原油高が日本経済や物価に与える影響を慎重に見極める姿勢を鮮明にしており、植田和男総裁は同日午後の記者会見で、国際金融資本市場の不安定な動きや物価見通しを説明し、先行きの追加利上げの考え方を改めて示しました。
今回の会合では、9人の政策委員のうち高田創審議委員が現状維持に反対し、政策金利を1.0%程度へ引き上げる案を提案しましたが、反対多数で否決されました。高田氏は1月の会合でも追加利上げを提案しており、海外発の物価上昇が国内に波及し、物価の上振れリスクが高まっていることを重視しているとみられます。
日銀の政策委員会においてタカ派と位置づけられる高田氏の主張は今回も支持を得られませんでしたが、物価上振れリスクへの警戒という問題意識は声明文にも反映されています。声明文では、中東情勢の緊迫化を受けて「国際金融資本市場で不安定な動きがみられる」と指摘するとともに、原油価格が大幅に上昇しており「今後の動向には注意が必要」と警戒感を示しました。
日銀は、生鮮食品を除く消費者物価指数(コアCPI)の上昇率について、いったん2%を下回る水準まで伸びが縮小した後、原油高の影響などから再びプラス幅を拡大していくと見込んでいます。2026年度後半から2027年度にかけて2%の物価安定目標を達成できるとの見通しも示しました。物価変動を差し引いた実質金利は依然として極めて低い水準にあり、金融環境はなお緩和的との認識です。
日銀は、日本経済が緩やかな成長を続け、賃金と物価が緩やかに上昇するメカニズムは維持されているとの基本認識を変えていません。春闘を通じた賃上げの定着や企業の価格転嫁の動きが続くなど、前向きな循環が機能していると評価しています。経済・物価が見通しに沿って改善すれば「引き続き政策金利を引き上げていく」として、利上げ路線を堅持する姿勢です。
原油100ドル・円安リスクと今後の利上げの焦点
今回の決定の背景には、中東情勢の悪化に伴う原油価格の急騰があります。WTI原油先物価格は18日のニューヨーク市場で一時1バレル=100ドルを超えました。中東の石油・ガス施設への攻撃が続くなか、供給不安を背景に高値圏で推移しており、攻撃前の水準と比べ、大幅な上昇です。
原油高はガソリンや電気料金を通じて国内の物価を押し上げる一方、企業や家計の負担増を通じて景気の下押し要因ともなり得るため、日銀はどちらの影響が強く出るか、慎重な見極めが必要です。
為替市場では、中東リスクと金利差を背景に円安圧力が強まれば、輸入物価のさらなる上昇につながる可能性があります。賃金と物価の好循環が持続的に実現できるかが、次回以降の利上げのタイミングを左右しそうです。政府はガソリン価格抑制策などで原油高に対処する方針で、日銀も財政措置の動向や世界経済の減速リスクを踏まえながら、慎重な政策運営を続けるとみられます。
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