公示地価、全国平均2.8%上昇 バブル崩壊後で最大の伸び

公示地価、全国平均2.8%上昇 バブル崩壊後で最大の伸び

国土交通省が17日に発表した2026年1月1日時点の公示地価では、住宅地や商業地などを含む全用途の全国平均が前年比2.8%上昇し、5年連続のプラスとなりました。 上昇率は1991年の11.3%以来の水準で、バブル崩壊後で最大の伸びだとされています。 背景には、景気の緩やかな回復に加え、都心部を中心としたオフィス需要の高まりと国内外からの投資マネーの流入があります。 2025年の国内事業用不動産投資額(10億円以上の取引)は6兆5千億円と、前年比31%増で過去最大を更新し、従来のピークだった2007年の5兆4千億円を上回りました。

圧倒的な存在感を示したのが東京圏です。東京圏の地価は全体として5%台後半の伸びとなり、大阪圏も4%弱の上昇と堅調でした。 なかでも商業地の最高価格地点は、20年連続で東京都中央区銀座の山野楽器銀座本店で、1平方メートルあたり6710万円と、前年から10.9%上昇しました。 2025年の伸び率(8.6%)から加速しており、都心一等地への投資意欲の強さを象徴しています。

投資マネーの厚みも増しています。CBREの集計によると、2025年の国内事業用不動産投資額のうち約6割が東京圏を中心とする首都圏に向かい、海外投資家による取得額は2.4兆円と過去最大になりました。 米投資会社ブラックストーンが東京・赤坂の大型複合ビルや江東区の物流施設などを総額数千億円規模で取得するなど、1件あたり1000億円を超える大規模取引も相次いでいます。

こうした投資を下支えしているのが、低金利環境と実需の堅調さです。日本銀行は2025年12月に政策金利を0.75%まで引き上げたものの、主要国に比べれば依然として低水準で、国内金融機関は不動産向け融資に前向きな姿勢を維持しています。 一方で、企業業績の好調さを背景に、人材獲得競争の観点から立地の良いオフィスを求める動きが強まり、オフィスが国内不動産投資の約4割を占めました。

都心オフィス市場では、需給逼迫が鮮明になっています。オフィス仲介大手・三鬼商事の調べでは、都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の平均賃料は2026年2月時点で前年同月比7%超の上昇となり、空室率は2%台と、需給均衡の目安とされる5%を大きく下回っています。 建設費高騰や人手不足で再開発の中止や遅延も生じており、専門家からは「都心オフィスの逼迫は2030年ごろまで続く」との見方も出ています。

地方にも上昇波及 観光・交通網整備が牽引

地方圏でも地価の上昇基調は続いており、波及効果が広がっています。商業地の平均変動率は38都道府県で上昇し、前年の34都道府県から増加しました。 住宅地も31都道府県がプラスとなり、2025年の30都道府県からわずかながら拡大しました。 観光需要の回復や交通インフラの整備が進んだ地域での上昇が目立ち、札幌、仙台、広島、福岡など地方中核都市に加え、その周辺部にも波及しています。

各地域の事情を見ると、北海道では札幌圏を中心に上昇が続く一方、建築費高騰の影響で郊外の伸びはやや鈍化しています。 東北では、宮城県で仙台圏と沿岸部の二極化が進んでいると指摘されています。 関東では、つくばエクスプレス沿線の茨城県南部や、埼玉県の浦和・大宮・川口、千葉県流山市など、都心アクセスに優れたベッドタウンの住宅地が高い伸びを示しました。 神奈川県も全用途平均で4%台半ばの上昇となり、横浜駅周辺の住宅地や商業地の上昇が鮮明です。

中部や北陸では、長野県でリゾート・移住需要を背景に3年連続でプラスとなり、石川県でも観光需要が地価を押し上げています。 一方、新潟県や山梨県では一部で下落が残るなど、地域内の二極化が進行しています。 近畿圏では大阪の繁華街「ミナミ」エリアの商業地が高い上昇率を記録し、中国・四国では広島駅ビルの開業効果や香川県でのアリーナ開発計画が地価を押し上げています。 九州では、福岡通勤圏としての需要を集める佐賀市の商業地が全国上位の上昇率となるなど、都市圏の拡大も見て取れます。

一方で、名古屋圏や一部地方4市では上昇率が前年より縮小するなど、建築費高騰や人口減少の影響も表面化しつつあります。 今回の地価上昇はバブル期と異なり、オフィスや住宅の実需に支えられていると分析されていますが、金利上昇や世界経済の減速が今後の不動産市場に与える影響を慎重に見極める必要があるといえます。

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