ソニーフィナンシャルG上場で約1兆円市場デビュー 日本初の「パーシャルスピンオフ」制度活用

ソニーフィナンシャルG上場で約1兆円市場デビュー 日本初の「パーシャルスピンオフ」制度活用

ソニーグループの金融子会社であるソニーフィナンシャルグループ(SFGI)が2025年9月29日、東京証券取引所プライム市場に上場しました。この上場は、2023年度税制改正で新設された「パーシャルスピンオフ」制度を日本で初めて活用した事例として注目されており、流通参考値段150円に基づく時価総額は約1兆720億円という国内今年最大級の大型上場です。

今回の上場で注目すべきは、従来の新規株式公開(IPO)とは異なる「パーシャルスピンオフ」制度の活用です。この制度では、親会社が子会社株式の一部(今回は80%超)を株主に現物配当として分配し、残りの株式(20%未満)を継続保有することで、実質的に非課税での事業分離が可能となります。

ソニーフィナンシャルグループは、ソニー生命保険、ソニー損害保険、ソニー銀行などを傘下に持つ金融持株会社として2004年に設立されました。同社は2020年8月に上場廃止となり、ソニーGの完全子会社となっていましたが、今回の再上場により独立性を回復します。

遠藤俊英社長はNHKのインタビューで、グループの研究開発部門から人材を受け入れて新たな金融サービスを創出する計画を示し、「ソニーGはエンターテインメント企業であるため金融事業への投資は後回しになりがちだったが、上場を機に様々な経営判断が迅速に行えるようになり、市場に対する適切な資金調達が可能になる」と述べています。

投資家への影響と市場動向、日本経済への長期的インパクト

今回のスピンオフにより、ソニーGの株価は表面上、ソニーFG分の価値だけ下落することが予想されます。一方、ソニーFGは年間500億円を配当に充てる方針を発表しており、時価総額1兆円ベースで計算すると配当利回りは約5%になる見込みです。

ただし、投資信託やファンドの運用者からは、上場直後にソニーFG株を売却したい投資家が多いとする「フローバック(逆流)」への懸念も指摘されています。特に、従来のIPOで実施される需要調査(ブックビルディング)を経ない直接上場のため、初値形成後の値動きには注意が必要です。

このパーシャルスピンオフ制度の初適用は、日本企業の事業再編を促進する重要な事例となります。制度設計者が想定した「競争力向上のための事業再編促進」という政策目標の実現に向けた第一歩として、今後の他企業による同制度活用にも影響を与える可能性があります。

ソニーGにとっては、金融事業の独立により、エンターテインメント領域での知的財産(IP)取得戦略により集中できる体制が整うことで、「エンタメの総合商社」としての色合いを強める方向性が明確になります。

ソニーフィナンシャルグループの上場は、日本の資本市場における新たな制度活用の先例として、企業の事業再編戦略や投資家の資産形成選択肢の拡大に寄与することが期待されます。特に、生命保険事業を中核としながらも、ソニーブランドとライフプランナーによる営業力を活かした独自の金融サービス展開により、既存の金融グループとは異なる競争優位性を発揮できるかが注目されています。

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