小林製薬と神戸市、使用済みカイロを「鉄資源」に再生へ エコノバ活用の実証実験が本格化

小林製薬と神戸市、使用済みカイロを「鉄資源」に再生へ エコノバ活用の実証実験が本格化

小林製薬が神戸市と連携し、使用済みの使い捨てカイロを回収して鉄鋼原料に再用する実証実験「めぐるカイロプロジェクト」が本格化しています。 使い捨てカイロの中身の約半分を占める鉄粉は、使用後に酸化して酸化鉄となるため、これまで再資源化が難しいとされてきましたが、高炉で鉄に戻す還元処理の方法が確立され、資源循環への道筋が見えてきたといいます。 神戸市内の資源回収ステーション「エコノバ」に専用ボックスを設置し、メーカーを問わず使用済みカイロを回収、解体・分別したうえで鉄粉をペレット状に加工し、鉄鋼製品の原料として再生する仕組みです。

プロジェクトは2025年2〜5月に実施した第1期と、2025年12月から始まった第2期で構成されます。 第1期では、神戸市内の「エコノバ」36カ所に回収ボックスを設置し、当初1トンとしていた回収目標に対し、約3.3トン(約66万枚相当)の使用済みカイロが集まり、すべて鉄鋼原料の元となるペレットへと再生処理されました。 アンケートでは約9割の利用者が「今後も回収を継続すべき」と回答し、「前から捨て方に困っていたので、出せてすっきりした」「資源として扱われるなら、わざわざ持って行く意味を感じる」といった声が寄せられるなど、市民からの支持も確認されています。

こうした反響を踏まえ、2025年12月上旬に始まった第2期では、回収拠点を市内51カ所のエコノバに拡大し、2026年11月末までに10トン(約20万枚超相当)の回収を目標に掲げています。 小林製薬はプレスリリースで、今回の取り組みを通じて、これまで燃えないごみとして埋め立て処理されてきた使用済みカイロを新たな鉄資源として循環させるモデルを確立し、国内外への展開も視野に入れて検証を進める考えを示しています。

全国に広がる可能性と課題 資源循環型モデルの確立なるか

「めぐるカイロプロジェクト」は、年間17億枚以上が消費される使い捨てカイロの環境負荷を減らし、資源を有効活用することを狙った官民連携の取り組みです。 回収されたカイロは、専用ボックスで集めた後に解体・分別され、鉄粉を還元処理して鉄鋼原料に再生することで、埋め立て処分されていたごみを資源に変える「都市鉱山」としての役割を担います。 神戸市が整備するエコノバという既存の資源回収インフラと、企業側の技術・投資を組み合わせることで、行政・市民・企業の三者が関わる循環型モデルを形成している点も特徴です。

一方で、事業化に向けては、解体・分別や物流コスト、鉄鋼原料としての品質安定性など、採算性の確保が大きな課題として残ります。 小林製薬は、実証実験を通じて回収量やコスト構造を検証しつつ、他自治体や他社との連携も含めたスキームの展開可能性を探る方針で、担当者は「市民の協力なくして成り立たない取り組みだが、国内外に広げて持続的な仕組みにしていきたい」と意気込みを語っています。 カイロの使い方が変わらなくても、捨て方を変えることで資源循環の輪を広げられるかどうか、今後2期目の成果とスキームの横展開に注目が集まりそうです。

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