
米OpenAIが9月30日に発表した動画生成AI「Sora 2」をめぐり、日本の知的財産保護体制の脆弱性が露呈する事態となっています。
X(旧Twitter)上では、公開直後から『ドラゴンボール』や『NARUTO』、『千と千尋の神隠し』といった著名作品のキャラクターを模倣した高精度の動画が大量に投稿され、クリエイター保護の観点から深刻な問題として浮上しました。
生成された映像は日本語・英語の音声と楽曲を伴い、声優の演技を再現したような音声品質となっています。一部で音声と口の動きに不一致が見られるものの、「Sora」の透かし表示があっても原作との判別が困難なレベルに達しており、SNS利用者からは驚愕の声が上がっています。
「明確な権利侵害行為」との批判が相次ぐ一方、「二次創作やファンアートと本質的に変わらない」との擁護論も展開されています。
自民党副幹事長で法律家でもある塩崎彰久衆議院議員は自身のアカウントで実際に「Sora 2」を使用した経験を踏まえ、「重大な法的・政治的問題があると感じました」と警鐘を鳴らし、国内クリエイターとコンテンツ産業の保護に向けた迅速な対応を表明しました。
ネット上では、「本物とAIの区別がつかなくなった」「こういう動画出す人間は総じてモラルに欠けてるから消すのは難しいだろう」「この件は特に問題だと感じない。むしろ生成AIの望ましい使い方の1つだと思う」などの意見が寄せられています。
米国作品は保護、日本作品は無防備 オプトアウト制度の盲点
特に問題視されているのは、米国と日本のコンテンツに対する保護水準の格差です。『ディズニー』や『マーベル』など米国の主要キャラクターは「Sora 2」での生成ができないのに対し、日本の人気作品は制限なく生成できる状況が確認されています。
この背景には、OpenAIが採用するオプトアウト方式の問題があります。米Wall Street Journalの9月29日報道によると、「Sora 2」は権利者が事前に除外申請を行わない限り、あらゆる著作物を含む動画生成が可能な設計になっているとのことです。
OpenAIは米国の一部スタジオやタレント事務所に対して公開前にオプトアウト手続きの案内を送付していましたが、日本企業への同様の対応は確認されていません。
AI技術と知的財産権の関係を巡る議論が国際的に激化する中、日本企業による迅速なオプトアウト申請と、政府レベルでの法整備対応が急務となっています。












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