トランプ政権、全世界に一律10%の新関税発動 違法判決受け通商法122条を初適用

トランプ政権、全世界に一律10%の新関税発動 違法判決受け通商法122条を初適用

トランプ米政権は米東部時間24日午前0時1分(日本時間24日午後2時1分)、全ての国・地域からの輸入品を対象に一律10%の新関税を発動しました。 この措置は、連邦最高裁が非常事態権限法を根拠とした「相互関税」などを違法と判断し無効化したことを受け、その代替として導入されたものです。 新関税は米通商法122条を根拠としており、「大規模かつ深刻な国際収支の赤字」がある場合に大統領の裁量で最大150日間、最大15%までの追加関税を課すことを認める規定で、適用は今回が初めてとされています。 現時点の税率は10%ですが、トランプ大統領は条文上の上限である15%まで引き上げる意向を公言しており、今後、税率の上昇リスクが意識されています。

発動に先立ち、米税関・国境警備局(CBP)は22日、相互関税や合成麻薬フェンタニル対策として中国やカナダ、メキシコに課していた関税の徴収を23日で終了すると輸入業者に通知しており、24日から新関税へ切り替わる形となりました。 新関税は全品目に一律10%を上乗せする仕組みのため、これまで個別協定や制裁関税によって税率が大きく異なっていた各国・地域の負担は、「引き下げ」と「増加」が混在する結果になります。 ブラジルや中国、インドなどは相互関税に加えて別個の高関税が課されていたことから、合算の税負担は相対的に低下する一方、米国と10%の相互関税で合意していた英国は負担増となる可能性が指摘されています。

日本企業にとっても影響は避けられず、これまで日米交渉で自動車などを中心に負担軽減措置が講じられてきたものの、新関税はそのスキームとは別枠で上乗せされる形です。 経済産業相の赤沢亮正氏は24日の会見で、「相互関税の代替措置となる新関税が発動された場合、日本企業に追加的な負担が生じ得る」と述べ、これまでの軽減措置が白紙に戻る可能性にも言及しました。 一方で、鉄鋼やアルミニウム、自動車など既に別の法律に基づく分野別関税がかかっている品目については、今回の新関税の対象外とされており、品目ごとに影響度合いが大きく分かれる見通しです。

また、通商法122条の適用には150日という明確な時限があり、延長には連邦議会の承認が必要です。 野党・民主党はすでに延長に慎重な姿勢を示しており、秋以降の継続が不透明な中で、企業は短期間ながらも世界規模のコスト増に対応を迫られています。 政権側も今回の10%関税を「つなぎ措置」と位置付け、期限切れまでに別の通商法301条に基づく恒常的な追加関税発動を検討しており、米通商代表部(USTR)のグリア代表が主要貿易相手国の大半を対象に広範な事前調査を実施する方針を示しています。

国際・日本企業に広がる波紋と今後の焦点

今回の新関税発動により、世界経済には再び不確実性が強まっています。 通商法122条は国際収支の赤字を理由とする「非常時」の措置と位置付けられており、これまで適用例がなかった規定を用いたこと自体が、各国に対する強い政治的メッセージと受け止められています。 一律10%という分かりやすい負担増は、輸入コストの上昇を通じて米国内の物価を押し上げる可能性がある一方、トランプ大統領はSNSなどで「駆け引きを仕掛ける国には高関税で臨む」と発言しており、貿易交渉のテコとして活用する構えです。

日本政府内では、自動車を中心に約5500億ドル規模の対米投資を進める企業にとって、サプライチェーン見直しや価格転嫁の可否が焦点となっています。 とりわけ、為替の円安進行と重なる形での関税コスト増は、企業収益を圧迫する懸念が強く、経団連など経済界からは米側に対し安定的な通商枠組みの維持を求める声が上がっています。 同時に、日本や欧州など同盟国の一部は、WTO(世界貿易機関)のルールとの整合性や「国際収支赤字」を理由とした関税発動の正当性を慎重に見極めている状況です。

今後の最大のポイントは、150日の時限付き関税が期限を迎えるまでに、米議会が延長を認めるのか、あるいは通商法301条など別根拠の関税に移行するのかという点です。 連邦最高裁が非常事態権限法に基づく従来の「トランプ関税」に事実上の「ノー」を突き付けた中で、司法判断と整合的な新たな通商戦略を構築できるかどうかは、トランプ政権の政権運営や今後の選挙戦にも直結します。 日本を含む各国政府と企業は、米国の追加措置や税率引き上げの有無、さらには150日後の出口戦略を見据えながら、対米輸出と現地生産のバランスを改めて検証する局面に入っていると言えます。

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