
洋上風力発電向け風車の世界最大手ベスタス(デンマーク)が、2029年度までに日本国内で風車生産を始める方針であることが分かりました。 経済産業省と同社が9日、工場設置に向けた覚書を交わしており、国内に製造拠点を設けることで、日本やアジア市場で拡大が見込まれる洋上風力の需要を取り込む狙いです。 日本はこれまで欧米からの輸入に風車供給を依存してきましたが、国内サプライチェーンを整備して調達コストを引き下げられれば、洋上風力事業の採算性向上が期待されます。
ベスタスはまず2029年度までに、発電設備の中枢となるナセルの組み立て工場を設置し、2039年度までにナセルの本格的な生産工場を整備する計画です。 将来的にはブレード(羽根)やタワー(支柱)と組み合わせ、国内で大型風車一式を供給できる体制を構築する方針です。 工場候補地としては、洋上風力の拠点形成が進む福岡県北九州市や、重工業の集積がある北海道室蘭市が挙がっており、数百億円規模の投資が見込まれています。
鋼材や半導体、磁石などの主要部材は、日本製鉄や富士電機など国内企業から調達可能とされ、日本メーカーの競争力強化にもつながる構図です。 経済産業省は、風車タワーや浮体、ベアリングなどの製造を含む関連産業への波及効果に加え、雇用創出も大きいとみており、かつて風車製造を手がけた三菱重工業や日立製作所などの技術者活用や、高専などでの人材育成も想定しています。
政府は2050年の温室効果ガス排出実質ゼロに向け、洋上風力を再生可能エネルギーの主力電源の一つと位置づけています。 2025年に閣議決定されたエネルギー基本計画では、電源構成に占める風力比率を2023年度の約1%から、2040年度に4〜8%へ高める目標が掲げられました。 一方で、三菱商事連合が落札していた秋田県・千葉県沖の大規模洋上風力計画から、建設コストが入札時の想定の2倍以上に膨らんだことなどを理由に撤退した事例もあり、高コスト構造の是正が喫緊の課題となっています。
世界的にも風車メーカーによる値上げや資材費・人件費の高騰で、2019年から2025年の間に風車製造コストは約1.2倍、設置コストは約2.6倍に増加したとされます。 日本は欧米から遠く輸送費がかさむうえ、円安も逆風となってきました。 経産省は、ベスタスのような大手が日本に製造拠点を置くことで、運搬費の削減や部材の現地調達が進み、長期的なコスト低減と事業の持続可能性につながるとみています。
伸びるアジア市場と日本の戦略
洋上風力を巡っては、国際的な業界団体が2034年までの導入量が2024年比で7倍程度に拡大すると試算しており、欧州に加えアジア市場の成長が見込まれています。 経産省は、日本で生産した風車を将来的にベトナム、フィリピン、オーストラリアなどへ輸出する構想も描き、日本拠点をアジアの供給ハブと位置づけています。
一方、価格の安さを武器に中国の金風科技(ゴールドウインド)などがシェアを伸ばしており、ベスタスにとっても日本拠点の設置はアジア市場での存在感維持に不可欠です。 欧州連合(EU)は域内の風力技術を補助金で優遇する新たな政策を打ち出し、中国製の排除を図る動きを強めており、経済安全保障の観点からも欧州製技術の活用が重視されています。
政府は今後も洋上風力の公募を継続しつつ、国内部材メーカーも含めた供給網整備を支援する方針で、海域利用期間を原則30年から40〜50年程度に延長できる制度改正も進めています。 ベスタスの国内工場計画は、こうした制度面の見直しや世界的な再エネ投資の再加速も追い風に、日本の洋上風力産業を再構築する試金石となりそうです。








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