
徳島大学大学院整形外科の研究グループが、青色LEDの光に骨や筋肉にできる腫瘍(骨・軟部腫瘍)の増殖を抑える効果があることを明らかにし、同種のさまざまながん治療への応用研究を進めています。 骨や軟部に生じる悪性腫瘍は「肉腫」とも呼ばれ、10万人あたり年間3~4人と発症数が少ない一方で、進行すると腕や脚の切断に至るケースもあり、治療と日常生活の両立が課題となってきました。 徳島大大学院医歯薬学研究部・運動機能外科学分野の西庄俊彦准教授(48)は、患者の命を守ると同時に「動ける日常」を維持できる安全性の高い新規治療の確立を目指し、2019年から青色LED光の医療応用に取り組んでいます。
研究グループは、がんの細胞株を培養したシャーレの下から青色LED光を照射し、どの程度増殖を抑え、細胞死を誘導できるかを検証してきました。 これまでの実験では、軟部腫瘍の一種「滑膜肉腫」のがん細胞に対し、青色LEDを48時間照射すると増殖が従来の50~60%に抑えられ、72時間の照射では7~8割の細胞死を引き起こすことが確認されています。 さらに、「脂肪肉腫」「粘液線維肉腫」「未分化多形肉腫」といった軟部腫瘍や、骨腫瘍の代表例である「骨肉腫」でも同様の増殖抑制効果が見られ、正常細胞への悪影響は認められなかったとしています。
青色LED光は、これまでも細菌感染の抑制や皮膚疾患治療など、医療分野での利用実績があり、白血病や大腸がん、膵臓がん、膀胱がんなどでの有効性や安全性に関する報告も出ています。 徳島大では、こうした先行知見を踏まえ、骨・軟部肉腫に対する抗腫瘍効果のメカニズム解明や、転移性骨腫瘍への応用を見据えた基礎研究も進められています。 西庄准教授は、青色LED光は薬剤とは異なる作用機序を持つため、既存の手術・薬物療法と組み合わせることで治療の選択肢を広げられる可能性があるとし、今後の発展に意欲を示しています。
カテーテルや内視鏡と組み合わせた照射装置を構想 クラウドファンディングで支援呼びかけ
研究チームは、現在の培養細胞やマウスでの検証に加え、体の奥にある腫瘍にも青色LED光を届けられる医療機器の開発に乗り出しています。 カテーテルや内視鏡と組み合わせて患部に直接光を当てる方法や、体内に青色LEDを埋め込んで腫瘍に継続的に照射する方法などを検討しており、マウスへの照射実験を通じて抗腫瘍効果の再現性や安全性を確認していく計画です。
こうした臨床応用に向けた研究の加速を目的に、徳島大学の基金プラットフォーム「おつくる」では、がん細胞株などの実験資機材の購入費や動物実験費などに充てるため、目標額500万円のクラウドファンディングを実施しています。 受付期間は2026年5月1日までで、支援状況や研究の進捗は同サイト上で随時発信されています。 プロジェクトページでは、これまでの研究成果として滑膜肉腫に対する増殖抑制効果や、複数の骨・軟部腫瘍で得られたデータが紹介されており、患者の「命」と「動ける日常」を守る新しい治療法の実現に向けて幅広い支援を呼びかけています。
徳島大学による青色LED光を用いたがん治療研究は、悪性骨・軟部腫瘍という希少がん領域において、切断を伴う大がかりな手術に依存しない治療法を模索する取り組みとして注目を集めています。 研究グループは今後も、国内外の学会発表や論文投稿を通じてデータを蓄積し、安全性と有効性を慎重に検証しながら、実用化への道筋を探る方針です。









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