
三菱電機は2026年3月4日、スペインのロケット打ち上げ事業者「PAYLOAD AEROSPACE(ペイロード・エアロスペース、ブランド名:PLD Space、本社:バレンシア州)」に5000万ユーロ(約90億円)を出資したと発表しました。あわせて小型衛星の打ち上げサービスに関する協業契約も締結しました。今後拡大が見込まれる衛星観測ソリューション事業に必要な打ち上げリソースを、長期的に確保するのが目的です。
三菱電機はこれまでJAXA向けの大型衛星などを中心に宇宙関連事業を展開してきました。安全保障・防災などの用途での衛星観測ソリューションサービス事業の拡大を目指しており、今回の出資によりPLD Spaceが提供する小型衛星の打ち上げリソースを優先的に確保する計画です。
PLD Spaceは2011年に設立された欧州の新興ロケット企業です。2023年には自社開発した実証用ロケット「MIURA1」の打ち上げに成功。2025年には欧州宇宙機関(ESA)が主導するコンテストで新興打ち上げサービス事業者として資金援助の権利を獲得しました。現在は小型衛星の専用打ち上げに特化した液体燃料ロケット「MIURA5」の開発を進めており、2026年中の初回打ち上げを計画しています。将来的には年間30機程度の打ち上げを目指しています。
三菱電機は衛星コンステレーションの本格化に向け、打ち上げ能力を前広に確保する必要があると判断。今回の協業により自社や顧客の衛星を確実に宇宙へ届ける手段を事前に押さえ、小型衛星データサービス事業の安定運営と拡大につなげたい考えです。
拡大する小型衛星需要と打ち上げ競争 三菱電機が描く宇宙ビジネス戦略
小型衛星需要の拡大を背景に、打ち上げ市場の逼迫も顕在化しています。人工衛星の小型化・低コスト化が進むなか、通信やリモートセンシング、災害監視、環境観測など多様な用途で衛星コンステレーションを構築する動きが世界的に加速している状況です。
日本政府は2023年に閣議決定した宇宙基本計画で、国内宇宙産業の市場規模を2030年代の早期に現在の倍となる8兆円規模へ拡大する目標を掲げており、三菱電機の今回の動きはこうした成長市場を見据えた先行投資といえます。
日本企業として早期にPLD Spaceとの連携を決めた三菱電機は、打ち上げ枠を優先的に確保した形です。安全保障・防災・気候変動対策など社会インフラ領域での衛星データ活用ビジネスを拡大しつつ、打ち上げリソースの安定確保が、今後の事業展開の鍵となりそうです。












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