アルテミスII帰還 人類最遠飛行を達成し次の月着陸へ前進

宇宙船「オリオン」が日本時間11日午前9時過ぎ、米カリフォルニア州サンディエゴ沖の太平洋に着水し、地球への帰還を果たしました。米国が主導する国際月探査「アルテミス計画」初の有人ミッション「アルテミスII」として、月フライバイ(月接近通過)飛行を行っていたものです。

オリオンにはNASAのリード・ワイズマン船長、ビクター・グローバー操縦士、クリスティーナ・コック、カナダ宇宙庁(CSA)のジェレミー・ハンセンの4人が搭乗しました。4月1日の打ち上げから約9日間にわたる月往復飛行を終え、乗員は全員無事だということです。

このミッションでは月の重力を利用して地球へ自然に引き返す軌道を採用。月の遠側を通過した際に地球から約40万6771キロの地点に到達し、人類による宇宙飛行の最遠到達距離記録を56年ぶりに更新しました。従来の記録は1970年4月に米アポロ13号が記録した約40万171キロで、今回はその記録を約6600キロ上回るものです。

船内からは月面のクレーターや、月の地平線から地球が昇る「地球の出」などの光景も観測され、半世紀ぶりの有人月接近飛行の象徴的な成果として注目されています。

今回の帰還で、有人飛行データの詳細な分析が可能となりました。耐熱シールドやパラシュート、生命維持装置などオリオンの各システム性能の検証が進み、月着陸ミッションへの準備が大きく前進したと評価されています。

一方で、アルテミス計画全体は大規模で長期にわたる計画であり、技術開発や予算、民間企業との連携など、複数の不確定要素も抱えています。NASAは今回の成果を踏まえつつ、今後のスケジュールやミッション内容を精査しながら、段階的に計画を進めていく方針です。

2028年有人月面着陸へ ドッキング試験と技術検証が焦点

NASAは、今回の有人月フライバイで得られたデータを基に、オリオン船内の二酸化炭素除去装置や生命維持システムなど、各種機器の作動実績を詳細に分析する考えです。

2027年には地球低軌道でオリオンと商業月着陸船のランデブー・ドッキング試験「アルテミスIII」を実施、その成果を踏まえて2028年前半のアルテミスIVで初の有人月面着陸を目指します。さらに2028年後半にアルテミスVで2回目の月面着陸を行い、その後は定期的な月着陸を継続する計画です。

アルテミス計画では将来の月面基地建設や火星探査を視野に、国際協力の枠組みを広げながら持続的な月探査体制の構築を目指しており、今回の成功はその起点となる節目として受け止められています。

月着陸船の開発がなお途上にあることや、コスト抑制といった課題も残り、スケジュールの見直しが生じる可能性も否定できません。それでも、アポロ計画以来半世紀ぶりとなる有人月面着陸が現実味を帯びつつあるなか、アルテミス計画の行方に一層の関心が集まっています。

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