
高市早苗首相が、防衛装備品の輸出拡大方針をめぐり、戦後日本の「平和国家」像との整合性を問われています。 参院予算委員会で公明党の西田実仁参院議員が、1976年に宮沢喜一元首相(当時外相)が「兵器の輸出をして金を稼ぐほど落ちぶれてはいない」と語った国会答弁を引用し、日本が一時的な経済利益を優先する国になってよいのかとただしました。
これに対し高市首相は「もう時代が変わった」と述べ、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、同盟国・同志国と連携して地域の安定を実現する必要があると強調しました。 さらに、武器輸出の拡大は「経済成長にもつなげる。国民生活の豊かさにもつなげる。そして国をしっかりと守る、そういう時代に入っている」と述べ、防衛産業の「稼ぐ力」は不可欠だとの認識を示しました。
日本政府は2014年、従来の「武器輸出三原則」を「防衛装備移転三原則」に改め、日本の安全保障に資する場合などを条件に武器輸出を認める方向へ政策転換しました。 その際、運用指針では対象を「救難・輸送・警戒・監視・掃海」の5類型に限定し、殺傷能力を持つ装備品の輸出には事実上の歯止めを設けてきました。
しかし自民党と日本維新の会は、この5類型の縛りを撤廃する見直し案を取りまとめ、3月6日に高市首相に申し入れており、政府は今国会中にも殺傷・破壊能力のある武器の輸出を原則容認する方向で検討を進めています。 高市政権下でのルール緩和が進めば、戦闘継続中の国への輸出も可能となる恐れがあるとして、国内メディアの社説などからは「平和国家を変質させる大転換だ」と懸念する声も上がっています。
宮沢氏の理想と「経済成長」優先の是非
今回の国会論戦では、半世紀前の宮沢氏の理想主義ともいえる答弁と、現在の高市政権の現実路線の対比が鮮明になりました。 西田氏は、武器輸出を通じて防衛産業の収益拡大を図ることが「平和よりも一時的な経済利益を貪欲に追求する」姿勢につながらないかと問いかけ、平和国家としての理念の継承を求めました。 これに対し高市首相は、日本周辺で力による現状変更の試みが続く現状を踏まえ「我が国一国だけではなく、同志国を増やして抑止力と対処力を高めることが必要だ」と述べ、輸出拡大は安全保障上も合理的だと反論しました。
一方で、与党内外からは歯止めなき武器輸出拡大への懸念が根強くあります。 京都新聞などは社説で、防衛装備移転三原則の緩和が「戦後築いてきた平和国家のあり方を揺るがす」と指摘し、国会での十分な審議と国民的議論を求めています。 自民党は防衛装備移転の緩和を安保関連3文書の改定議論とも並行して進める構えで、防衛費増額や装備の高度化と一体で議論が加速する見通しです。
半世紀前の「兵器で稼ぐほど落ちぶれていない」という言葉と、高市首相の「落ちぶれたことだとは思わない」との認識の落差をどう評価するかが、今後の世論と国会審議の大きな焦点になりそうです。


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