アンソロピック、トランプ政権を提訴 AI排除は不当と主張

アンソロピック、トランプ政権を提訴 AI排除は不当と主張

人工知能(AI)開発の米新興企業アンソロピックは3月9日、米連邦地裁に提訴しました。トランプ米政権が同社のAI「クロード」を政府調達から排除したのは不当だとして、法廷に訴えた形です。

国防総省がアンソロピックを「サプライチェーン(供給網)上のリスク」に指定したことを「違法な報復」であると強く訴えています。ヘグセス国防長官は2月27日にXで指定を表明し、トランプ大統領も同日、SNSで全政府機関に対しアンソロピック製品の即時使用停止を指示。アンソロピックは3月4日付で国防総省から正式書簡を受け取り、指定が確定しました。

同社は2025年7月、国防総省と最大2億ドル規模の契約を締結。クロードは政府の機密ネットワークで稼働する唯一のAIモデルとして、情報分析や作戦計画に活用されてきました。

2026年1月の米軍によるベネズエラのマドゥロ大統領拘束作戦でもクロードの使用が報じられ、調達契約をめぐるアンソロピックと国防総省の対立が表面化。数カ月にわたる交渉は平行線をたどり、決裂しました。

対立の核心は、国防総省がクロードを「合法的なあらゆる用途」に無制限で使用するため、安全制限の撤廃を求めたことにあります。アンソロピックは、米国民への大規模監視や完全自律型兵器への悪用を防ぐため、これを拒否しました。

提訴ではサプライチェーンリスク指定の取り消しを求めています。同指定はこれまでファーウェイやカスペルスキーなど海外企業に適用されてきたもので、米国内企業への適用は異例とされています。

アンソロピックはクロードが米軍の情報分析や作戦計画で活用されてきた点を挙げ、政府の決定が国家安全保障を損なうと主張しました。同社CFOは2026年の収益が数十億ドル規模で減少しうると試算しており、近期だけでも数億ドルの損失が懸念されます。

政権と業界の反応

ホワイトハウスのリズ・ヒューストン報道官は「勇敢な兵士が任務に必要なツールを確保する」としたうえで、「軍はAI企業の利用規約ではなく合衆国憲法に従う」とコメントしました。一方、国防総省は「訴訟についてはコメントしない」と述べるにとどめています。

アンソロピックとの対立を機に、競合のOpenAIは国防総省の機密ネットワークへのAI導入で合意を公表。クロードの政府利用が急速に縮小するなか、競合他社が空いたポジションを埋める展開となっています。連邦裁判所がAI企業の安全方針と政府の軍事利用要求をめぐる今回の争いにどのような判断を下すか、今後の動向が注目されます。

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