
レアアース(希土類)を販売する中国の国有企業が、日本向けの新規契約を結ばない方針を一部の日本企業へ伝達したことが1月10日、関係者への取材で分かりました。既存契約の破棄も検討しているといいます。中国政府は1月6日、日本の軍事力向上につながる軍民両用(デュアルユース)品目の対日輸出規制を強化すると発表していました。日本企業がレアアースの取引を拒否されたケースが確認されたのは初めてです。
日本渡航自粛を皮切りに始まった中国による経済的威圧の影響は、ハイテク製品の製造に欠かせない戦略物資であるレアアースに波及しました。レアアースは電気自動車(EV)のモーターや半導体、スマートフォンなど幅広い工業製品に使用される重要な資源です。日本政府は、レアアースの販売を拒否したり自粛したりする動きが中国企業全体に広がらないかどうか注視しています。
関係者によると、レアアースを輸出する一部の中国国有企業は対日輸出規制を強化する1月6日の政府発表の直後、新規契約を結ばない方針を決めたとされます。半導体などに使われるレアメタル(希少金属)の新規契約も結ばないといいます。日本の商社の担当者は「輸出に必要な中国政府の審査が厳格化され、手続きに時間がかかっている」と明かしています。
中国商務省は1月6日、「商務部公告2026年第1号」を発表し、日本の軍事ユーザー向け、軍事用途向け、および日本の軍事力向上に資するその他の最終ユーザー・最終用途向けの両用物項輸出を禁止すると明記しました。規制は即日発効しています。米国のウォール・ストリート・ジャーナルは1月8日、中国の輸出業者の話として、一部のレアアースやレアアース磁石について日本への輸出規制が始まったと報じました。規制強化の対象は防衛関連企業だけではなく、日本の産業界全体に及んでいるということです。
今回の輸出規制の背景には、高市早苗首相が2025年11月7日の国会答弁で、台湾有事が発生した場合に「存立危機事態」になり得ると述べたことに対する中国側の強い反発があります。中国政府は「一つの中国」原則に反し、中国の内政に著しく干渉するものだと批判しています。
日本の対応と今後の影響
高市首相は1月11日放送のNHK「日曜討論」で、中国の措置について「国際的な慣行とは大きく異なるので、許容できるものではない」と述べ、中国側に強く抗議し、措置の撤回も求めていることを明らかにしました。また日本政府は「特定国に特定物資を過度に依存しない」という方針のもと、サプライチェーンの強化の取り組みを進めていくとしています。
一方、中国商務省の何亜東報道官は1月8日の定例会見で「民生用途は影響を受けない。通常の民生貿易に従事する関係者は全く心配する必要はない」と説明しています。しかし、具体的な対象範囲は明確ではなく、許可は当局の判断に依存するため、民生用途においても審査の遅延が発生する可能性があると指摘されています。
日本は2010年の尖閣諸島問題を契機に中国からレアアースの輸出規制を受けた経験があり、以降、供給源の多様化やリサイクル技術の開発などに取り組んできました。その結果、中国への依存度は約90%から約60%程度に低下しましたが、依然として高い水準にあります。日本企業の多くは数カ月分の在庫を有しているとされ、短期的な影響は限定的との見方もありますが、規制が長期化すれば生産活動への深刻な影響が懸念されています。









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