
米実業家イーロン・マスク氏が率いる宇宙開発企業スペースXと人工知能(AI)開発企業xAIが、合併に向けた協議を進めていることが分かりました。ロイター通信が1月29日、関係者の話として報じたもので、年内にも計画されるスペースXの新規株式公開(IPO)を前にした動きとされています。
マスク氏は2025年3月に交流サイト(SNS)のX(旧ツイッター)をxAIに統合しており、今回の合併協議は同氏が率いる企業群を再編する動きの一環と位置付けられています。合併が実現すれば、ロケット事業や衛星通信サービス「スターリンク」、SNSのX、生成AI「グロック」などが一体化されることになります。
関係者によると、合併はxAIの株式をスペースXの株式と交換する形になる見通しです。この取引を円滑に進めるため、1月21日にネバダ州で2つの事業体が設立されたことが確認されています。一方の有限責任会社(LLC)にはスペースXと最高財務責任者(CFO)のブレット・ジョンセン氏が管理メンバーとして記載されているといいます。
合併の背景には、マスク氏が進める宇宙空間にAI向けデータセンターを建設する構想があります。同氏は1月下旬にスイスで開催された世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で「AIを設置するのに最も低コストの場所は宇宙空間になる。それは2年以内、遅くとも3年以内に現実となる」と述べました。宇宙空間では天候に左右されず24時間太陽光を受けられるため発電効率が高く、低温環境はデータセンターの冷却に理想的とされています。
スペースXは直近の社内株式売却で評価額が8000億ドル(約123兆円)とされており、すでに世界で最も価値の高い非上場企業となっています。xAIは2025年11月時点で2300億ドル(約35兆円)と評価されていました。
複数の報道によれば、スペースXは2026年6月中旬のIPOを検討しており、評価額は1兆ドルから1兆5000億ドル(約153兆円から約230兆円)に達する見通しです。実現すれば、2019年のサウジアラムコに次ぐ規模のIPOとなる可能性があります。
マスク氏の企業間の統合は今回が初めてではありません。2016年にはテスラの株式を活用して太陽光発電企業ソーラーシティを買収し、2025年3月にはxAIがXを評価額330億ドル(約5兆円)で全額株式交換により買収しています。
この合併により、宇宙インフラとAI技術を組み合わせた前例のない技術企業が誕生する可能性があり、AIインフラの拡充を目指すマスク氏の戦略に弾みがつきそうです。ただし、評価額や実施時期などの詳細については現時点で明らかになっていません。
企業統合で宇宙ビジネスの新時代へ
今回の合併構想は、マスク氏が描く壮大なビジョンの一環として進められています。スペースXのロケット打ち上げ能力とスターリンクの衛星通信網、xAIの先進的なAI技術を統合することで、宇宙ベースのAIインフラという新たな事業領域の開拓が期待されています。
マスク氏は以前から、宇宙空間に太陽光発電を利用したAIデータセンターを設置する構想を語ってきました。ダボス会議では「完全な再利用可能性を達成すれば、宇宙へのアクセスコストは100分の1に低下する。宇宙に配備されたソーラーパネルは地球上のものより5倍効果的になる」と指摘し、「宇宙に太陽光発電のAIデータセンターを建設することは当然の選択だ」とも述べています。
合併が実現すれば、OpenAI、アンソロピック、グーグルといった強力な競合と競争を繰り広げる中で、xAIに大きな追い風となる可能性があります。一方で、規制当局の承認や株主の反応など、実現に向けては課題も残されています。










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