ブルーオリジン、最大6Tbpsの衛星通信ネットワーク「TeraWave」発表

ジェフ・ベゾス氏が創業した宇宙開発企業ブルーオリジンは1月21日(米国時間)、独自の衛星通信ネットワーク「TeraWave」(テラウェーブ)の配備計画を発表しました。このネットワークは地球低軌道(LEO)に5,280基、中軌道(MEO)に128基の計5,408基の衛星を配置し、2027年第4四半期から運用を開始する予定です。地球上のどこでも最大6テラビット毎秒(Tbps)の対称型データ通信を実現する設計で、これは米国の一般的な家庭向けインターネット回線の速度を数千倍上回る性能です。
TeraWaveの最大の特徴は、消費者向けではなく、企業、データセンター、政府機関を主なターゲットとしたエンタープライズ向けサービスである点です。高性能な無線接続と光接続を組み合わせた独自設計により、低軌道衛星とはQ/V帯の無線通信で最大144ギガビット毎秒(Gbps)、中軌道衛星とは光リンク(レーザー通信)で最大6Tbpsのデータ通信が可能になります。この圧倒的な通信速度は、衛星間を光通信で接続する技術によって実現されています。
配備が完了した後の収容能力は約10万人の顧客にとどまる見込みです。これは、2025年12月時点で約900万人の利用者を抱える競合のStarlink(スターリンク)と比較すると、はるかに小規模なターゲット設定であることが分かります。衛星の総数も、Starlinkが約9,300基を配備しているのに対し、TeraWaveは5,408基と約4割少ない設計です。しかし、TeraWaveは専用の高帯域接続を必要とする大口顧客向けに特化しており、サービスの質と信頼性を競争力としています。
ブルーオリジンは、TeraWaveを既存の光ファイバー網と組み合わせることで、災害時や設備メンテナンスで光ファイバーが途切れた場合でも通信を維持するバックアップ手段としての価値を強調しています。地上のゲートウェイ局も世界中で展開でき、既存の大容量インフラと統合してネットワークの回復力を強化できるとしています。このサービスは、遠隔地や農村部、郊外など、光ファイバー網の敷設が高価で技術的に困難な地域での活動に特に有用となる見通しです。
Amazon Leoとの差異や今後の課題
今回の発表は、Amazonが自社の衛星通信ネットワークの名称を「Project Kuiper」(プロジェクト・カイパー)から「Amazon Leo」(アマゾン・レオ)に変更してわずか2カ月後のタイミングです。Amazon Leoは11月14日にブランド名を変更し、商用展開への転換を明らかにしたばかりでした。この名称は、衛星が配置される低軌道(LEO)への敬意を表すものです。
両サービスの最大の違いは、対象顧客層にあります。Amazon Leoは主に消費者向けを想定しており、最終的に3,000基超の衛星を配置して数十億人規模の一般ユーザーにサービスを提供する計画です。対してTeraWaveは、数万人規模の企業や政府機関に特化したエンタープライズ向けサービスです。衛星業界アナリストのティム・ファラー氏は、LeoとTeraWaveの顧客層は重複すると指摘していますが、ブルーオリジンの戦略はStarlinkの死角とも言える高額・高品質な専用回線市場を狙うものと解釈できます。
今後の課題は、配備スピードにあります。2027年第4四半期という開始時期は、すでに約10,000基の衛星を運用するStarlinkや、2026年7月までに1,618基の配備を義務付けられているAmazon Leoと比較すると、出遅れたスタートと言えます。ブルーオリジンの再利用可能ロケット「New Glenn」が1回の打ち上げで49基の衛星を運べる能力を持つものの、2026年に10〜24回の打ち上げを目標とする計画では、競合との差をいかに埋めるかが鍵となります。












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