自転車講習命令を50回超無視 全国初の書類送検、大阪府警が40歳会社員を摘発

自転車講習命令を50回超無視 全国初の書類送検、大阪府警が40歳会社員を摘発

大阪府公安委員会から自転車運転者講習の受講を命じられながら、期限までに受講しなかったとして、大阪府警交通指導課が大阪市城東区の会社員の男性(40)を道路交通法違反(自転車運転者講習受講命令違反)の疑いで書類送検しました。 自転車運転者講習の受講命令違反での摘発は、2015年の制度開始以降、全国で初めてとされています。 男性は容疑を認め、「自転車の講習ということで軽く考えていた」と話しているということです。

大阪府警によると、男性は2023年10月に大阪府公安委員会から自転車運転者講習の受講命令を受けていました。 にもかかわらず、昨年10月までに定められた期日まで講習を受講しなかった疑いが持たれています。 警察は命令後、電話連絡や自宅・職場訪問などを通じて50回以上にわたり受講を促しましたが、男性は応じなかったとされています。

男性は少なくとも14回にわたって講習の予約をしたものの、「仕事が忙しかった」「身内が亡くなった」などと虚偽の理由を述べてキャンセルや無断欠席を繰り返していたといいます。 最終的には、2025年7月に警察官が職場を訪れて受講命令書を手渡しましたが、それでも期限までに受講しなかったとされています。 大阪府警は、悪質性が高いと判断し、起訴を求める「厳重処分」の意見を付けて事件を送致しました。

自転車運転者講習の受講命令は、信号無視や酒気帯び運転、スマートフォン使用など16項目の危険行為を3年以内に2回以上繰り返した場合や、危険運転が原因の事故を起こした場合に出されます。 講習時間は3時間で、受講料は6150円とされ、自転車の交通ルールや事故の被害者・加害者の体験談を通じて、安全運転への意識向上を図る内容になっています。 受講命令に従わない場合、5万円以下の罰金が科される可能性があり、今回の書類送検はこの規定を適用したものです。

大阪府警によると、2024年に大阪府内で自転車運転者講習を受講した人は327人に上り、自転車の悪質運転への対策として制度が一定程度運用されてきました。 それでもなお、命令自体を軽視し続けたケースが全国初の摘発につながった形で、自転車の違反行為に対する社会的な厳しい目が一段と強まる可能性があります。

制度の狙いと今後の課題

自転車運転者講習制度は、2015年の道路交通法改正により創設されたもので、悪質な自転車運転者に対して安全意識を高めることを目的としています。 一定の危険行為を3年以内に2回以上行った場合や、危険運転が原因の事故を起こした場合に公安委員会が講習受講を命じ、それに従わない場合は刑事罰の対象となる仕組みです。 自転車は免許制度がなく手軽に利用できる一方で、近年は信号無視やスマホ操作運転などによる重大事故が相次ぎ、歩行者の安全確保が課題となっています。

大阪府警が今回、受講命令違反の摘発に踏み切った背景には、制度の実効性を担保したいという狙いがあります。 府警は50回以上にわたり連絡や訪問を行うなど、任意の受講を粘り強く働きかけてきましたが、それでも従わなかったケースに対しては、法の厳格な運用を示す必要があると判断したとみられます。 今回の書類送検は全国初の事例であり、他の自治体や警察も、悪質な違反者への対応を見直す契機になる可能性があります。

一方で、講習制度自体の周知不足や、自転車利用者の「自動車ほど重い責任は問われない」という意識の根強さも課題とされています。 自転車が加害者となる事故では、高額な損害賠償が命じられるケースもあり、自転車保険の加入義務化を進める自治体も増えています。 専門家からは、講習命令や摘発だけでなく、学校教育や地域での啓発活動などを通じて、自転車を「車両」として扱う意識を社会全体で高める必要があるとの指摘も出ています。

今回の大阪府警による全国初の書類送検は、自転車利用のマナーとルール順守をあらためて問い直す出来事となりました。 今後、司法判断やその後の運用次第では、悪質な自転車運転に対する取り締まりが一層強化される可能性があり、日常的に自転車を利用する人にとっても、交通ルールの理解と遵守がこれまで以上に重要になっていくとみられます。

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