ロシアの国営宇宙開発公社は、中国と協力して月面に原子力発電施設を建設する計画を検討していることを公表しました。このプロジェクトは、両国間の戦略的な宇宙協力を一層深めるものであり、2033年から2035年にかけて計画を進める予定であるとのことです。
アメリカのシンクタンク「戦争研究所」によれば、「構想は奇妙なもの」とした上で、欧米を威嚇する意図を持っているとされます。一方で、ウクライナではロシアによる軍事侵攻が続いており、ウクライナ空軍は6日、ロシアから5発のミサイルと42機の無人機による攻撃を報告しました。この攻撃で、複数の住宅やインフラ施設が被害を受け、多くの市民が影響を受けています。
また、国際刑事裁判所(ICC)は5日、ウクライナの民間インフラへの攻撃に関与した疑いで、ロシア軍幹部2人に逮捕状を提出したばかりです。このような状況の中、ロシアと中国の月面プロジェクトがどのような影響を及ぼすのか、国際社会の注目が集まっています。
月面への施設設置は自動化技術を採用 「人間が作業を行わない」
ロシアの国営宇宙企業ロスコスモスのユーリ・ボリソフ社長は、中国のパートナーと共同で原子炉の設置を「真剣に検討している」と語りました。また、月面への原子力発電施設の設置は、人間の手を借りずに自動化技術を用いて進められるとのことです。
さらに「原子力発電所の設置を自動化する技術は、ほぼ完成している」と述べ、月面での十分な電力供給が可能になると期待しています。それに関連して、ロシアは宇宙空間での貨物輸送やスペースデブリの回収に使用可能な「宇宙タグボート」の開発も進めています。
一方で、複数の米メディアはロシアが宇宙で核兵器使用を計画していると報道し、この核兵器が人工衛星を標的としたものだと発表しました。それに対し、ロシアの政府高官とプーチン大統領は、これらの報道を強く非難しました。
ロシアの宇宙機関ロスコスモスと中国宇宙局は、2035年末までに月面に研究ステーションを建設する計画です。この計画には、月着陸船、スマート・ミニローバーの開発、そして通信と電力システムの構築を含んでいます。
このプロジェクトの一環として、中国は3つのミッションを予定しており、その中でも特に注目されているのが、5月に予定されている嫦娥6号(Chang’e 06)の打ち上げです。一方で、米国のNASAとエネルギー省も、2030年代初頭に月面に原子力発電所を設置する目標を掲げています。