闇バイト強盗の実行役に懲役14年判決 東京・国分寺と埼玉・所沢の2事件で

闇バイト強盗の実行役に懲役14年判決 東京・国分寺と埼玉・所沢の2事件で

首都圏で相次いだ「闇バイト」による強盗事件をめぐり、東京都国分寺市と埼玉県所沢市の2つの事件で実行役を担ったとして起訴された森田梨公哉被告(26)に対し、さいたま地方裁判所は9日、懲役14年(求刑懲役17年)の判決を言い渡しました。 森田被告は2024年、SNS上の高額バイト募集を通じて集められたグループの一員として、国分寺市の住宅での強盗傷害事件と、所沢市の住宅での強盗致傷事件に関わったとされ、強盗致傷や住居侵入などの罪に問われていました。

裁判員裁判となったこの事件で、森田被告は初公判から起訴内容を全面的に認め、「起訴状に間違いはありません」と述べていました。 検察側は、X(旧ツイッター)で副業を探していた森田被告が、「モノを運ぶ簡単な仕事」と説明されながらも、ハンマーや粘着テープなどの犯行道具をあらかじめ購入し、他の実行役らとともに住宅に押し入って現金を奪ったと指摘しました。 一方、弁護側は、応募時には通常のアルバイト感覚で個人情報を提供したことや、指示役から血まみれの人物の写真を見せられるなどして脅され、「断れない状況に追い込まれていた」と主張し、量刑の軽減を求めていました。

判決で室橋雅仁裁判長は、森田被告を含む面識のない複数人がSNSの高額バイト募集で集まり、海外にいる指示役らの指示に従って犯行に及んだと認定し、「組織的、計画的で匿名性が高い犯行だ」と厳しく非難しました。 国分寺市の事件では、被害者の両手を粘着テープで縛り、背中をたたくなどの暴行を加え、金品を要求したとされ、被害者に大きな恐怖と身体的被害を与えたと評価しました。 所沢市の事件では、森田被告自身は暴行行為には直接加わっていないものの、室内を物色し金品を探すなど「強盗目的の達成に不可欠で重要な役割」を果たしたと指摘しています。

これに対し弁護側は、「当初は荷物運びと聞かされ、指示役に脅されて犯行に関わらざるを得なかった」として、犯行への関与は限定的だと訴えていましたが、裁判所は、森田被告が国分寺市での強盗に既に関与していたにもかかわらず、追加の報酬を得る目的などから所沢市の事件にも加担した点を重視しました。 判決は「指示役からの脅しがあったとしても、自らの利益のために犯行を重ねており、刑事責任は相当に重い」と述べ、懲役14年の実刑が相当と結論づけました。

SNS型「闇バイト」強盗の広がりと課題

今回判決が言い渡された2つの事件は、2024年以降、首都圏各地で続発している「闇バイト」型強盗事件の一部で、警察はこれまでに関連事件で少なくとも50人以上を検挙しています。 所沢市の事件では2024年10月、同市北野新町の住宅に男らが侵入し、80代の夫婦の手足を粘着テープで縛って現金などを奪い、夫の腕を刃物で切りつけるなどしてけがを負わせており、住民の不安が高まる契機となりました。 埼玉県警は、事件直後に強盗致傷容疑で逮捕した他の実行役の供述などから、「SNSで闇バイトに応募した」との実態を把握し、森田容疑者(当時24)を公開手配・逮捕していました。

同様の手口による強盗事件では、フィリピンから「ルフィ」などの名義で指示が出されていた一連の事件が既に大きな社会問題となっており、匿名性の高い通信アプリとSNSを通じて実行役が募集される構図は共通しています。 今回の森田被告の裁判でも、裁判所は、実行役が「替えのきく存在」として使い捨てられる一方で、住民の生命・身体への危険が極めて大きい点を重視し、一般予防の観点からも重い刑罰が必要だと示しました。

 「簡単に稼げる高額バイト」といった文言で勧誘される闇バイトは、生活に困窮する若者や不安定な就労状態の人々を取り込むケースが目立っており、森田被告もX上で副業を探す中で指示役と接触したとされています。 一方で、国分寺市の事件後もなお別の事件に関与した経緯などから、裁判所は「ただの被害者」とみなすことには慎重な立場を取りました。 今回の判決は、闇バイトに応募した実行役であっても、犯行への関与度に応じて重い刑事責任を負うことを改めて示したものであり、若者らに対する抑止効果がどこまで及ぶかが問われています。

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