大阪王将のナメクジ大量発生事件 元従業員が偽計業務妨害罪で起訴
2022年7月、宮城県仙台市の飲食チェーン「大阪王将仙台中田店」で勤務していた元従業員が「ナメクジが大量に発生している」との内容をX(旧Twitter)に投稿し、大きな話題を呼びました。この投稿は瞬く間に広がり、店舗は休業に追い込まれ、最終的には閉店に至りました。
被告人は同年7月24日、「大阪王将仙台中田店あるある 大きな冷蔵庫の扉と扉の隙間にナメクジ大量にいる」といった文言をXで複数回にわたって投稿。この投稿は結果として、運営会社を一時休業に陥らせるなど、偽計を用いた業務妨害に繋がりました。
被害を受けた店舗側は、「本件投稿によって、投稿を見た第三者が被害店舗に電話するなど対応を迫られ、休業の後に閉店に追い込まれた」と主張しています。
この件について、元従業員の圓谷晴臣被告は偽計業務妨害罪で起訴され、2024年4月24日に仙台地裁で初公判が開かれました。検察側は、圓谷晴臣被告が店長から勤務態度を注意されたことに憤り、復讐として事実を誇張し、炎上させて業務を妨害させようと考えていたと主張しています。また、市保健所の立ち入り調査では、「ナメクジの目撃情報はあるが、大量発生ではない」と結論づけています。
この逮捕報道を受け、ネット上では「内部告発して逮捕されるのはおかしい」「告発内容が事実だったのになぜ」という擁護の声が多く上がりました。このケースは、内部告発の扱いと企業の対応に関する重要な議論を呼ぶ可能性があります。
被告人「業務妨害は認めるが、ウソはついていない」
仙台地方裁判所で開かれた公判において、圓谷晴臣被告は「業務妨害は認めるが、ウソはついていない」と述べました。彼の弁護人も「偽計業務妨害罪の成立は認めます。しかし、被告人は存在していない事実を存在しているように装ってはいません」と主張しました。
検察側は、圓谷晴臣被告の投稿が誇張されていた点を指摘し、「偽計」にあたると判断しています。この事件では、内部告発者の保護が問題となりました。同被告の告発動機が個人的な腹いせであると認められたため、公益通報者保護制度の保護対象外とされたのです。
さらに、被告の行為が不特定多数に晒されたことで、公益通報の要件を満たしていないと問題視されました。市保健所による立ち入り調査の結果、ナメクジは未発見と報告されましたが、被告人は隠ぺい工作が行われたと指摘しています。
次回の公判は6月5日に追起訴審理が予定されており、この問題に対するさらなる審理が行われることになります。
8月19日に仙台地裁で行われた被告人質問の様子は、下記記事でお読みいただけます。