米連邦最高裁がトランプ関税を「違法」と判断 政権は新たに世界一律15%の追加関税を表明

米連邦最高裁がトランプ関税を「違法」と判断 政権は新たに世界一律15%の追加関税を表明

米連邦最高裁判所は2月20日、トランプ大統領が各国・地域に課してきた「相互関税」などの関税措置について、違法とする判決を下しました。トランプ氏が法的根拠としていた国際緊急経済権限法(IEEPA)は「大統領に関税を課す権限を付与していない」と明確に判断しています。判決は9人の判事のうち6人の多数意見によるもので、内訳は保守派3人、リベラル派3人でした。保守派のロバーツ長官に加え、トランプ氏自身が1期目に指名したゴーサッチ判事とバレット判事も違法判断に賛成しています。

この訴訟は、相互関税によって打撃を受けた複数の米中小企業やオレゴン州などが原告となって提訴したもので、1審の国際貿易裁判所、2審の連邦巡回区控訴裁判所でも違法判決が出ていました。昨年11月の口頭弁論では、保守派・リベラル派双方の判事からトランプ関税の合憲性に懐疑的な見方が示されており、政権敗訴の可能性が指摘されていました。

今回の最高裁判決により、約70カ国・地域を対象とした相互関税のほか、合成麻薬フェンタニルの流入対策を理由にカナダ、メキシコ、中国に課していた追加関税も法的根拠を失うことになります。ただし、自動車や鉄鋼など分野別に課された関税には影響しません。これまでにIEEPAに基づいて徴収された関税は約1750億ドル(約23兆円)規模に上るとされ、国内外の約1000社が還付を求める可能性があると報じられています。最高裁は徴収済み関税の還付については明確な判断を示さず、下級審に委ねました。今回の判決は、トランプ大統領にとって看板政策の法的根拠が司法から否定される形となり、政権復帰後で最大の司法面での敗北となりました。

トランプ氏「国の恥」と判事を非難、新たに一律15%の追加関税を表明

トランプ大統領は20日、ホワイトハウスで緊急の記者会見を開き、判決について「深く失望した」「ばかげた決定だ」と述べました。違法判断に賛成した6人の判事に対しては「我が国の恥だ」と厳しく非難し、自身が指名したゴーサッチ氏とバレット氏については「家族にとって恥ずべき存在だ」と罵倒しています。そのうえでトランプ氏は、1974年通商法122条に基づき、全世界からの輸入品に対して一律10%の追加関税を課す大統領令に即日署名しました。この関税は米東部時間24日午前0時1分(日本時間24日午後2時1分)に発動する予定です。

通商法122条は、国際収支の深刻な赤字に対処するため最大15%の関税を課す権限を大統領に認めていますが、適用期間は議会の承認なしには最長150日間に限られます。トランプ氏はこの新関税で時間を稼ぎつつ、通商法301条や通商拡大法232条など別の法的根拠による関税措置を模索する考えとみられています。さらにトランプ氏は翌21日、自身のSNSで税率を10%から15%に引き上げると表明し、わずか1日で方針を変更しました。日本政府は21日未明、昨年9月の日米関税合意の遵守を米国側に求めています。

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