
渡辺真衣被告、通称「頂き女子りりちゃん」の裁判が3月15日に開かれ、検察は被告に対し懲役13年と罰金1,200万円を求刑しました。検察側は「真剣な交際を求める独身男性の心情につけこみ、繰り返し金銭を拠出させた卑劣な犯行」と指摘しています。
渡辺真衣被告は、独身男性を対象に詐欺行為を重ねたほか、詐欺を助けるためのマニュアル販売、さらに約4,000万円の所得税を脱税した罪で起訴されています。検察はこれらの行為を「卑劣な犯行」と断じ、その悪質性を強調しました。
詐欺罪は「10年以下の懲役」、詐欺罪の幇助は「5年以下の懲役」、所得税法違反は「10年以下の懲役」または「1,000万円以下の罰金」の刑罰が定められています。ただし、全ての刑罰が合算されるわけではなく、渡辺真衣被告に対しては最も重い刑の1.5倍までの懲役15年が最大とされています。
ネット上では、「あらゆる負の連鎖を断ち切るために、重罪にするべきだと思います」「確かに飲酒運転など人が亡くなっている罪と比べると重く感じます」「これくらいでもいいと思うけどだったら他の罪も同様に重くして欲しい」など、さまざまな意見が寄せられています。
渡辺真衣被告が詐欺を行ったきっかけ ホストクラブへの没入
渡辺真衣被告はNHKの記者との3回の接見で、性風俗店での勤務やホストクラブへの没入、そして再び性風俗店へ戻った経緯について話しました。渡辺真衣被告はホストからナンバーワンになるための支援を求められ、必要とされることに喜びを感じ、ホストクラブに通う以外の生き方がわからなくなってしまったと述べています。
そのことがきっかけで渡辺真衣被告は、性風俗店の客に恋愛感情を抱かせて金を詐取したとのことです。「頂き女子」としてSNSで注目を集め、自作のマニュアルを販売したとも述べています。「マニュアルはわかりやすく簡単なことばを選んだ。フォロワーから必要とされることに存在意義を見いだしていた」とコメントしています。
また、渡辺真衣被告が詐欺で得た金銭と知りつつ、飲食代として約909万円を受け取ったホストは組織犯罪処罰法違反の罪に問われています。ホスト側については、女性客に高額な飲食代を支払わせるために売春等を強要していたという問題がありますが、飲食代を受け取る行為そのものの刑事責任は追及しにくい状況でした。
そんな状況の中、飲食代を犯罪収益の移転と見なし組織犯罪処罰法を適用したことは、社会問題に対する新たなアプローチとされ注目されています。