フリーランスという働き方が、日本国内で急速にその存在感を増しています。近年、フリーランスの1年間の総報酬は約20兆円に達し、これは5年前と比較して約2倍の増加を示しています。フリーランスの人数は257万人に上り、派遣社員の数を上回る規模になりました。
2024年秋には、フリーランスを保護するための法律が施行される予定です。この新しい働き方について、フリーランスの仲介サービスを手掛けるランサーズの秋好陽介社長は、「将来は個が会社を超え、大仕事を成す時代が来ます」というビジョンを提唱しており、個人が株式上場する可能性についても触れました。
このような発言は、フリーランスやその家族らが集まった東京・原宿でのイベント「ランサーオブザイヤー」で行われました。このイベントは、フリーランス同士の交流を深め、自分らしい働き方で活躍する人々を表彰する目的で開催されています。
フリーランスの年収は正社員と比べても遜色なく、2023年版の「フリーランス白書」では、2割が400万円から600万円未満を稼いでおり、1割は1,000万円以上の収入を得ているとのことです。また、フリーランスの報酬総額は正社員の給与総額の約9分の1に達しており、この差は徐々に縮まりつつあります。
フリーランスの働き方は多様であり、自分のライフスタイルに合わせて仕事量を調整できる柔軟性が魅力です。例えば、Webライターの花山さくら氏は、「自分で仕事量を調整できるので、時間の融通が利くのがいい」と話しています。
また、プロジェクトごとに異なるスキルを持つフリーランス同士がチームを組んで大きな案件に取り組む動きも見られ、このような働き方は新たな潮流となっています。「新卒フリーランス」としてキャリアをスタートさせる人も現れ、大学卒業後に直ちに独立してフリーランスとして活動する例も増えています。
AIの普及でチャンス広がる 「新たなフリーランスの時代が来る」
フリーランスという働き方は、専門性が高い「プロ人材」に対する需要の高まりとともに、経済の中核業務への関与が深まっています。特にITエンジニアや人事、マーケティング、経理財務の分野で活躍するフリーランスへの需要が増加しており、これを受けて特定領域に特化したマッチングサービスが充実してきました。
例えば、Hajimariは2019年からこうしたプロ人材と企業を結びつけるサービスを開始し、約1万7,000人のフリーランスが登録しています。一方で、フリーランスの人口増加に伴い、企業との力関係の不均衡やトラブルの経験が課題として浮上しています。
約半数のフリーランスが取引先とのトラブルを経験しており、この問題に対処するため、2023年4月にはフリーランスを守る新法が成立しました。2024年秋に施行される予定です。この法律は、発注側に仕事内容の明示やハラスメント防止措置を講じることを義務付けるものです。
また、フリーランス市場はエージェント型の企業が増えるなど、変化が生じています。ランサーズが主催する「ランサーオブザイヤー」のようなイベントは、フリーランスの表彰とコミュニティ形成に貢献しており、フリーランス同士がチームを組んで大規模なプロジェクトに挑む動きも見られます。
さらにAIの普及により、単純な作業は減少するものの、クリエイティブな仕事の価値は高まり、フリーランスにとって新たなチャンスが広がっていると考えられています。「AIと『共創』する新たなフリーランスの時代が来る」とも言われています。