
陸上自衛隊が、ドローンなど無人アセット(装備品)の本格活用に向けた専門部署として「無人アセット防衛能力推進室」と「無人装備室」を新設しました。 両組織は4月8日付で発足し、防衛省で13日に行われた新編行事で、小泉進次郎防衛相が看板を授与しました。 推進室は7人体制で運用構想の策定や研究開発の進捗管理を担い、装備室は6人体制で無人機などの調達、補給、整備を担当する体制です。
無人アセットの活用は、政府が2022年12月に閣議決定した「国家防衛戦略」で掲げる防衛力強化の7分野の一つに位置付けられており、防衛省は2027年度までの5年間で約1兆円を投じ、無人航空機(UAV)や無人水上艇(USV)などを陸海空自衛隊向けに数千機規模で整備する計画です。 加えて、2026年度予算では無人機関連経費として前年度の約2倍となる約2800億円を計上し、「新しい戦い方」の柱として無人アセット防衛能力の抜本的強化を掲げています。
防衛省は、多数の無人機を重層的に配備して沿岸域で侵攻部隊を阻止する「SHIELD(多層的沿岸防衛体制)」構想を推進しており、スタンド・オフ防衛能力や統合防空ミサイル防衛能力などと並ぶ将来の中核能力と位置付けています。 ロシアによるウクライナ侵攻など近年の紛争では、安価なドローンを大量投入する「非対称戦」が戦局を左右しており、AI(人工知能)や有人装備と組み合わせれば、部隊構成や戦い方を根本的に変える「ゲームチェンジャー」になり得ると政府文書にも明記されています。
一方、自衛隊の無人機導入加速の背景には、慢性的な人手不足もあります。自衛隊の定員は約24万7154人とされていますが、2024年度末の現員は約22万3000人にとどまり、充足率は89.1%と25年ぶりに9割を下回りました。 特に陸上自衛隊の不足が目立ち、募集対象人口も人口減少に伴い今後大幅な減少が見込まれており、省人化やリスクの高い任務の無人化は喫緊の課題となっています。
「新しい戦い方」へ転換進む日本の防衛戦略
防衛省は、こうした人手不足と安全保障環境の変化を踏まえ、有人機・有人部隊と無人アセットを組み合わせたハイブリッドな運用への転換を急いでいます。 SHIELD構想では、沿岸域や島しょ部などで、偵察用ドローン、攻撃型無人機、無人水上艇などを組み合わせ、侵攻部隊を多層的に監視・阻止する構想が示されており、2026年度予算でも無人アセットによる多層的沿岸防衛体制の構築として1000億円規模の関連経費が計上されています。
陸上自衛隊は2026年2月、近距離で歩兵部隊などを攻撃する自爆型無人機の調達を決定したほか、軽装甲車両や艦艇に対する中・遠距離攻撃用の無人機導入も計画しており、戦闘様相の変化を見据えた装備体系の見直しが進んでいます。 無人アセットは、遠隔操作や自律制御により危険な環境や長時間の連続運用が可能で、人的損耗の抑制にもつながるため、少子化で隊員確保が難しくなる中でも防衛力を維持・強化できる手段として期待されています。
こうした中、小泉防衛相は新組織の発足行事で、「諸外国はウクライナの教訓を踏まえ、無人アセットを用いた新しい戦い方の構想実現に着手している。防衛省・自衛隊も、我が国ならではの新しい戦い方を早期に実現しなければならない」と述べ、運用構想の確立と装備整備を一体で進める方針を強調しました。 今後は、技術開発や運用ルールの整備とともに、無人機の安全性や暴走リスク、周辺住民の理解など、国内での議論も一層求められそうです。


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