子どもの個別指導で避けたい失敗と守るべき5つの原則

子どもに個別指導を行う男性教師

小学校や塾で講師を務めてきた私は、これまで多くの教育現場で子どもたちと向き合ってきました。長年の経験から、「良かれと思って教えたのに、思うような成果が出ない」という場面を何度も見てきました。

子どものためになることだと思って一生懸命、教えた結果、次のようになってしまったという経験はないでしょうか。

  • なかなか理解してくれない
  • 学力が上がらない
  • その子との人間関係が悪くなってしまった 

こうした残念な結果には、共通する原因があります。実は、子どもを個別に指導するときには守るべき原則があり、それを外れてしまうと、どんなに熱心でも効果が薄れてしまうのです。

この記事では、私が現場で学び、実践してきた「個別指導の原則」と、外れてしまったときに起こること、その背景にある理由をお伝えします。

<目次>

個別指導で子どもと信頼関係を築く5つの原則

女子生徒に個別指導を行う男性教師

原則① 子どもの真後ろに立たない

子どもが知っている教師、子どもに知られている教師や学習支援員であっても、子どもの真後ろには立たないことが原則です。

実際に真後ろに立たれてみるとわかります。後ろから声をかけられると、「何をされるのだろう」と不安になるのです。このことを実際に私に実演して教えてくれた先生がいました。教えてくれているときでさえ、不安になった私でした。子どもであれば、なおさらでしょう。

ただ、習字の指導の際に、子どもの腕をうしろからつかみ、一緒に書く指導をしなければいけないときがあります。このときは、教師が後ろに立たないと子どもと一緒に筆を動かすのは難しいです。あらかじめ、子どもに腕を一緒に持つことを知らせておきましょう。 

原則② 子どものノートを汚さない

(1)赤鉛筆で薄く書いてあげ、その上を鉛筆でなぞらせる

子どものなかには、「ノートをきれいに書きたい」という思いの強い子がいます。特に小学校高学年の女子、中学生女子に多いのではないでしょうか。私は、実際に教師が書いた文字を消しゴムで消している子どもを見たことがあります。

個別指導するときには、赤鉛筆でヒントをノートに書くようにします。赤鉛筆であれば、教師が間違えた文字や漢字、数字などを書いたとしても消しゴムで消すことができます。ただし、薄く書いてあることが必要です。教師は、赤鉛筆を何本か用意しておく必要があります。今の時代、シャーペンのような赤鉛筆があるので、そのような道具を使うのも良いでしょう。

(2)大き目の付箋にヒントなどを書いて渡す

赤鉛筆で薄くノートにヒントを書くかわりに、大きめの付箋にヒントなどを書いて渡すという方法もあります。このときは、赤鉛筆でなくても構いません。間違えたときには、別の付箋に書き直せるためです。

付箋の良いところは、子どものノートを汚さずに指導できるところです。指導したあとも、子どもはノートなどに貼って取っておくことができます。指導されたことが理解できていらないと感じたら捨てることもできます(教師からすれば、取っておいてほしいところですが)

また、子どもの字の上に赤で✖をつけないことも大切です。問題番号か、子どもの答えのそばに「〇✖」などの赤を薄く入れます。子どもが最初に書いた答えが残っていれば、どこを間違えたのかが分かり、指導もしやすくなります。 

原則③ 長時間の指導をしない

一生懸命に話して教えれば、子どもは分かってくれると思われる方は、多いことでしょう。私もそう思っていましたが、実はすべて間違いです。意外に思われるかもしれませんが、長い話は、子どもの頭のなかに残らないためです。

説明してしまうと分からなくなります。きっと、十分に理解できていないのに、話が進んでしまうからでしょう。 また、長時間、子どものそばで教えると、周囲の子どもに「自分はできない子」と思われるという不安が強くなってきてしまいます。

では、どのような指導をすれば良いのでしょうか。問題を解く手順、ポイントだけしか指導しないようにすればいいのです。理由を教えると長時間の指導になってしまいます。理由を知ることも大切なことは否定はしません。ただ、子どもにとっては「できる」ことが最優先です。自転車が走る理由を知るより、乗れるようになることのほうが大切なのと同じことです。

また、ひとつずつ、短く区切って教えることが大切です。たとえば「1辺が3cmの正方形をノートに一つ描きなさい」と指示したら、正確に描けているか確認します。次に「辺の横に3cmと書きなさい」と指示し、書けたか確認します。作業の指示を出したら確認することを繰り返していきます。小学生だけでなく、中学生に教えるときも同じです。原則は、教える相手が誰であっても変わりません。

原則④ 子どもが聴覚優位か視覚優位かを知る

人前で指導しても、大丈夫な子どもかを見極めることも大切です。原則③でも触れたように「自分はできない子」と思われるのを嫌がる子どももいます。

可能であれば、「視覚優位の子」か「聴覚優位の子」かを見極めてから指導できると良いでしょう。教えているうちに自然に分かってくることもありますが、見極め方のひとつとして「漢字の覚え方」が挙げられます。

あるサイトで、次のように書かれていました。「次の漢字を20秒程度で覚えてください。『説誤記』この漢字をどのように覚えましたか?『セツ・ゴ・キ』と音の響き、読み方で覚えたという人は、聴覚優位の傾向があり、視覚優位の子は形で覚える」ということでした。

聴覚優位な子には話し言葉を多く使い、視覚優位な子には絵や図などを多く使って、教えると良いでしょう。

原則⑤ 教師も学び続ける

5つの原則は、すべて私が関わった先生方から教わってきたことです。教えてもらったことは、その先生が経験してきた、現場の生の声と言えます。教えてもらったことを守ることは、自分を守ることにもなります。

子どもから「教えて」と言ってきた場合は別ですが、子どもが望んでもいないのに、教室の皆に見える位置で長時間、個別指導を続けたら嫌がられてしまう可能性が高くなります。指導していいのは、その子が皆の前で指導されることをまったく気にしていないようなときなどです。

また、原則②で「赤鉛筆で薄く書く」ことに触れましたが、実は簡単そうでとても難しいのです。薄くしすぎると見えなくなってしまい、濃すぎると消しゴムで消せなくなってしまいます。そのため、どのくらいの濃さがいいのか、見極め、練習しなければできません。かくいう私もなかなか良い濃さで書くことができないでいるので、これは練習するしかありません。

原則をまもって個別指導すれば子どもの力は伸びる

教師の個別指導を受けて喜ぶ女子生徒

私はこれまで、多くの子どもに個別指導をしてきましたが、「良かれと思ってやったこと」がうまくいかない場面を何度も経験しました。この記事でご紹介した原則はどれもシンプルですが、実践すると子どもの反応や理解度が驚くほど変わります。

子どもが学習内容を理解するまでの時間は、一人ひとりの子どもによって異なります。それでも、原則を守って個別指導すれば時間はかかるかもしれませんが、子どもの学力は少しずつ伸びてくることでしょう。

須貝誠教育ライター・中学校学習支援員・塾アシスタント

投稿者プロフィール

小学校準常勤講師・塾講師を経験する。
現在は教育ライター・中学校学習支援員・塾アシスタント。
進学塾では主に国語を担当。教師が集まる民間教育団体であるTOSS相模原・和(のどか)会員として指導法を学んだ。

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