
安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件の裁判員裁判で、殺人などの罪に問われている山上徹也被告(45)が、奈良地裁での被告人質問において、安倍氏の遺族に対し初めて謝罪の言葉を口にしました。 山上被告は「昭恵さんをはじめ元首相のご家族には何の恨みもありません。非常に申し訳ないことをしたと思っています」と述べ、声を震わせながら、自らの行為に弁解の余地はないとする認識を示しました。
4日に行われた第14回公判の被告人質問で、弁護人が「あなたの行為で一人の命が失われました。何か言葉はありますか」と問いかけたのに対し、山上被告は「この3年余り、遺族に非常につらい思いをさせてきたのは間違いない」と説明。被告自身も肉親を亡くした経験から遺族の苦しみに思いを致していると語りました。 安倍氏の妻の安倍昭恵さんは、3日の公判には被害者参加人として出廷しましたが、4日の公判には姿を見せていません。
山上被告は、事件の動機として、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への強い恨みが背景にあったと公判で繰り返し述べており、安倍氏は「教団と関係が深い象徴的な存在」とみなしたとされています。 一方で、4日の法廷では「安倍氏が殺害されなければならなかったというのは間違いだった」とも証言し、標的とした判断そのものが誤りだったと認める発言もありました。 2022年7月8日、奈良市の近鉄大和西大寺駅前での参院選街頭演説中に安倍氏を背後から銃撃し死亡させたとされるこの事件は、国内外に大きな衝撃を与え、銃規制や警備体制、宗教二世問題など幅広い議論を引き起こしてきました。
公判では、山上被告が手製銃を製造し、事前に山中で試射を繰り返していた経緯や、犯行当日までの行動が詳しく明らかにされています。 また、家庭環境や旧統一教会に傾倒した母親による多額献金などが、被告の生活や精神状態にどのような影響を与えたかについても、専門家証人の証言を交えて審理が進められていると報じられています。 裁判員裁判は10月に初公判が開かれ、被告人質問は11月から複数回にわたり実施されてきており、4日の期日で被告人質問は一旦終結しました。
遺族への初謝罪と今後の審理の焦点
山上被告が安倍氏の遺族に直接言及して謝罪したのは今回が初めてであり、これまでの公判で見せてきた態度との違いが注目されています。 11月の被告人質問では、自身がこれまで生きてきたことへの否定的な感情や、社会に迷惑をかけたことへの一般的な謝罪はあったものの、安倍氏やその遺族に対する明確な謝罪には踏み込んでいませんでした。 4日の法廷での「非常に申し訳ない」という表現は、事件の結果に対する責任を明確に認める発言として位置づけられています。
一方で、山上被告は旧統一教会に対する強い批判的感情を依然として崩しておらず、教団に対する解散命令請求が出されたことについて「ありがたい」と述べたと報じられています。 こうした発言は、犯行動機が教団への敵意とその象徴とみなした安倍氏への攻撃にあったとの構図を改めて浮かび上がらせる一方、殺害行為自体を「間違いだった」とする認識との間に揺らぎを抱えたまま臨んでいる様子もうかがわせます。
公判では今後、検察側の論告求刑と弁護側の最終弁論が行われ、量刑の妥当性が最大の焦点となります。 検察側は計画性や社会的影響の大きさを強調し、重い刑罰を求めるとみられる一方、弁護側は旧統一教会問題や被告の家庭環境、精神状態などを情状として訴える構えです。 判決言い渡しは来年1月21日に予定されており、安倍元首相銃撃事件に対する司法の判断が、日本社会の今後の安全保障や宗教と政治の関係を巡る議論にも大きな影響を与える可能性があります。










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