
米電気自動車(EV)大手のテスラは、日本国内における急速充電網「スーパーチャージャー」を大幅に拡充する計画を明らかにしました。現在運用している約700口の充電設備を、2027年までに4割増となる1000口以上へ増やす方針です。これまでは需要の多い首都圏を中心に整備を進めてきましたが、今後は地方都市にも設置範囲を広げ、日本市場でのシェア拡大を加速させます。
今回のインフラ投資の背景には、日本市場におけるテスラ車の販売が極めて好調であることが挙げられます。欧米市場ではイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の政治的言動などの影響で販売が伸び悩む局面も見られますが、日本では対照的に過去最高を更新する勢いです。2025年1月から11月の国内販売台数は、前年同期比で約2倍となる1万90台を記録し、同社として初めて年間1万台の大台を突破しました。
国内のEV市場全体を見ると、2025年1〜11月の販売台数は5万5380台でした。そのうち約4割は日産自動車の「サクラ」などの軽EVが占めていますが、登録車(軽を除く普通車)のEVに限れば、テスラのシェアは約3割に達し、首位を独走しています。特に主力車種である「モデルY」の人気が高く、国と地域の補助金を活用すれば実質400万円台からの購入が可能な点や、継続的な値下げ施策が追い風となっています。
しかし、日本国内の充電インフラは依然として課題が残ります。日本で主流の急速充電規格「CHAdeMO(チャデモ)」の設置数は2025年3月時点で約1万2618口と圧倒的ですが、テスラ車がこれを利用するには専用のアダプターが必要です。テスラ独自の「NACS(ナックス)」規格によるスーパーチャージャーは、アダプターなしで高速充電が可能であり、この利便性がユーザーから支持されています。今回の網羅的なネットワーク拡大は、購入を躊躇する層の「充電不安」を解消し、さらなる顧客獲得につなげる狙いがあります。
NACS陣営の拡大と激化するEV市場競争
テスラが自社規格の充電網を強化する動きは、単なる自社ユーザーへのサービス向上にとどまりません。日本国内でもテスラ規格(NACS)を採用する動きが広がっており、将来的にはテスラの充電網が他社製EVのインフラとして機能する可能性が高まっています。すでにマツダやソニー・ホンダモビリティがNACSの採用を表明しているほか、欧州ステランティスも2027年から日本で販売する車両をテスラ規格に対応させると発表しました。
充電インフラ事業者もこの潮流に対応し始めています。スイスの重電大手ABBは、2026年から日本国内でテスラ規格に対応した充電器の展開を開始する予定です。また、国内の急速充電器大手であるパワーエックスもNACS対応の準備を進めており、規格の壁を越えた充電環境の整備が進みつつあります。
一方、国内メーカーも新型車の投入で攻勢を強めます。2026年1月には日産自動車が新型「リーフ」を、スズキが同社初のEVとなる「eビターラ」を相次いで発売する予定です。競争が激化する日本市場において、テスラは「充電網の広さ」を武器に、日本勢との差別化をさらに鮮明にしていく考えです。








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