レッドブルと専門企業の共同により、時速350kmを超える高速ドローンが開発されました。このドローンは、時速300kmを超えるF1マシンに追いつくことができ、シルバーストン・グランプリ・サーキットでF1マシンの撮影に成功しました。
ドローンの名称は「Red Bull Drone 1」です。最高速度は時速350kmであり、わずか4秒で時速300kmに達するという驚くべき性能を誇ります。
しかし、この高性能ドローンをF1の有観客グランプリで広く使用することは、安全性の懸念から困難とされています。ドローンによる撮影はF1の映像技術に革新をもたらす可能性を秘めているものの、その全面的な採用にはまだ多くの障壁が存在します。
レッドブルの技術チームとDutch Drone Godsが協力して生み出したこの技術は、間違いなく注目の的であり、将来的にF1の観戦体験を大きく変えることになるでしょう。それでも、安全性を最優先に考えるF1では、技術の進歩とともに、その使用方法に関しても慎重な判断が求められています。
安全上の懸念から使用が困難 「あれはプライベートテスト」
F1のメディアおよび放送担当ディレクターのディーン・ロック氏は、レッドブルと国際自動車連盟(FIA)との間で行われた協議について語りました。レッドブルの開発した高速ドローンの導入可能性について話し合いを進めていますが、ディーン・ロック氏は、有観客のイベントでの使用は安全上の懸念から困難であるとの見解を示しています。
また、「彼らが新型ドローンと共に行ったことは、非常に興味深い」と話しており、その上で「しかしあれはプライベートテストだ。つまり彼らは我々が守るべきルールの9割は守らなくてもいいんだ」と指摘しました。新型ドローンは驚異的な速度を誇りますが、その操作性には限界があり、観客の安全を確保しつつ使用することには大きな課題が伴うとのことです。
さらにディーン・ロック氏は、FIAとのミーティングでさまざまな議題を話し合ったと述べ、ドローンの軽量化や小型化などにも積極的に取り組んでいることを明かしました。これにより、万が一ドローンが落下した場合でも、被害を最小限に抑えられると説明しています。
一方で、開発に携わったドローンパイロットのラルフ・ホーゲンビルク氏は、ドローン技術の将来の展望について言及しました。「ここから、実際にどこへ進んでいくことになるのかは分からない」とした上で、「しかし当然、目標は実際のレースかフリー走行などで、ライブ配信を行う能力を持つことだ」と語り、F1サーキットでのドローン使用に大きな期待を寄せています。