
三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)は、短期国債などで運用するマネー・マネージメント・ファンド(MMF)を約10年ぶりに復活させる方針です。まずは円建てMMFを2026年に機関投資家向けに販売開始し、その後、個人投資家向けの商品展開も視野に入れていると報じられています。運用は三菱UFJアセットマネジメントと三菱UFJ信託銀行が担い、販売は三菱UFJモルガン・スタンレー証券が行う体制です。
MMFは、短期国債や高格付けの社債などで運用する投資信託で、比較的低リスクでありながら、普通預金より高い利回りが見込める商品とされています。2008年ごろの年換算利回りはおよそ0.5%程度で、当時の銀行預金金利より概ね0.3ポイント高かったとされています。足元の預金金利は平均で約0.2%とされており、現在の金利水準が続けば、新たなMMFの利回りは0.5%近辺となる可能性があると見込まれています。
日本でMMFが登場したのは1992年で、純資産総額は2000年前後に20兆円超まで拡大しましたが、その後、日銀の超低金利政策で投資妙味が薄れ、残高は減少しました。2016年にマイナス金利政策が導入されると、円建てMMFは募集停止となり、国内金融機関は販売を事実上取りやめていました。今回の販売再開に踏み切るのは、国内では三菱UFJグループが初とされています。
三菱UFJアセットマネジメントは過去にも複数のMMFを運用し、2005年末以降のピーク時には約4500億円規模の残高を抱えていました。新たに設定するMMFについては、今後数年で単独3000億円規模への成長を目標とすると伝えられています。背景には、「金利のある世界」への回帰を受けて、普通預金に滞留する個人・法人マネーを、より効率的に運用したいというニーズの高まりがあります。三菱UFJ側は、デジタル技術も活用し、オンライン取引などを通じて投資家層の裾野を広げたい考えです。
個人マネーの新たな受け皿となるか、広がりと課題
今回のMMF復活は、長く続いたゼロ金利・マイナス金利下で行き場を失っていた資金に、新たな受け皿を提示する動きといえます。短期国債や高格付け債を中心に運用するMMFは、普通預金より高い利回りを狙いつつ、日々の値動きが比較的安定している点が特徴とされています。企業にとっては余剰資金の一時的な運用手段として、個人にとっては「預金より一歩踏み出した低リスク運用」として、資産形成メニューの選択肢が広がる可能性があります。
一方で、商品設計の詳細や実際の利回り水準、手数料水準などはこれから詰められる段階とされており、投資家は目論見書や販売会社の説明を通じてリスクとコストを慎重に見極める必要があります。MMF市場はかつて20兆円超の規模に達したものの、その後は金利低下で急速にしぼんだ経緯があります。今後、日銀の金融政策運営や市場金利の動向次第では、再び利回りが低下する可能性も否定できません。
それでも、大手メガバンクグループが先陣を切ってMMF販売を再開することは、他の金融機関の動きを促し、個人・法人マネーの「預金一辺倒」からの多様化を後押しする契機となり得ます。金利正常化の流れの中で、投資家がどこまでリスクとリターンのバランスを取りながら資産をシフトさせていくのか、三菱UFJの新MMFはその試金石となりそうです。

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