JR東日本、「Suica経済圏」の再構築に着手 金融サービス「JREバンク」を開始
JR東日本は、新たなデジタル金融サービス「JRE BANK(JREバンク)」を5月9日に開始すると発表しました。この取り組みの目的は、JR東日本が提供するSuicaカードの利用範囲を拡大し、より多くのサービスとの連携を図ることによって、顧客に新たな価値を提供することです。
JREバンクは、銀行が事業会社に金融システムを提供する「バンキング・アズ・ア・サービス(BaaS)」の手法で展開します。JR東日本は鉄道利用者に対し、特典として片道運賃の年10回までの4割引きや、普通列車のSuicaグリーン券を年4枚まで無料で提供するなど、独自のメリットを打ち出しています。
また、JR東日本グループが手掛けるホテルの宿泊料金を最大20%割引したり、商業施設「ルミネ」で一定額以上の決済をした18〜24歳向けに「JREポイント」を約1,000ポイント還元したりなど、鉄道以外でもサービスを展開する予定です。
JR東日本の喜勢陽一社長は「従来の輸送データに加え、今まで把握できなかった資産状況などの情報も得られるようになる」と述べ、「データを駆使したマーケティング戦略やサービス開発を一歩先に進めていく」とコメントしました。
このような戦略により、JR東日本は利用者の日常生活にさらに深く融合し、鉄道利用の促進だけでなく、地域経済全体の活性化に寄与することを目指しています。
NTTドコモがAmazonジャパンと連携 ドコモ経済圏を拡大
NTTドコモは4月10日、Amazonジャパンとの新たな提携を発表しました。具体的には、ドコモのスマートフォン決済サービス「d払い」を使用してAmazonで購入する際、利用者には最大3.5%のdポイントが還元されるというものです。
この戦略は、ドコモ経済圏の拡大を図るもので、消費者の購買体験を一新することを目指しています。ドコモの井伊基之社長は「買い物体験を変えていく」と強調し、Amazonジャパンのジャスパー・チャン社長との記者会見で提携の意義を語りました。
ドコモの回線契約がなかったとしても、Amazonとdポイントのアカウントを連携させることで、5,000円以上の買い物で1%のdポイントが還元されます。それに加え、d払いを利用すれば、0.5%のポイントが追加されます。それとは別にAmazonのポイントも付与されるなど、さらなる利点が加わる設計です。
ドコモ経済圏を拡大させる背景について、ドコモの田原務ウォレットサービス部長は「Eコマースが弱いのではという指摘があった」と説明しています。実際、dポイントの利用者は楽天ポイントの利用者に比べて、ポイントを貯めている割合と使用する割合が低いことがMMD研究所の調査でわかっています。
楽天グループは傘下の銀行や証券会社のサービスを連携させることで、楽天ポイントが貯まりやすくなるよう仕組みを整えています。それを受け、ドコモもAmazonとの連携を図り、顧客満足度を高める方針です。
さらにドコモは個人向けの動画配信サービスや金融サービスにも力を入れており、2023年には約500億円を投資し、マネックス証券を子会社化しました。今後のドコモの戦略に注目が集まります。