スマホを取り出さず「歩くだけ」で決済完了へ、JCBとりそなが2028年度の商用化を目指す

キャッシュレス決済をする2人の女性

ジェーシービー(JCB)とりそなホールディングス(HD)は、スマートフォンをバッグやポケットにしまったまま買い物ができる、超広帯域無線(UWB)を活用した新たなキャッシュレス決済の仕組みを構築することで基本合意しました。現在主流となっているQRコード決済やタッチ決済では、スマホをかざす動作が必要ですが、今回の新技術は「取り出さない」という究極の利便性を追求した次世代決済として、2028年度の本格的な商用化を目指します。

この仕組みでは、利用者が専用アプリに決済情報をあらかじめ登録しておくだけで、会計時に店舗のレジとスマホの間で決済情報が自動的に送受信されます。利用者はレジ端末の画面で認証ボタンを押すだけで支払いが完了する「ハンズフリー決済」が想定されています。また、セキュリティ向上のため、生体認証を組み合わせた2要素認証の導入も検討されており、安全性と利便性の両立が図られます。

実用化に向けたスケジュールとして、2026年度から大手飲食チェーンなど複数社と連携し、実店舗での技術実証を開始します。その後、2027年度に一部店舗での先行導入を経て、2028年度の本格稼働を見込んでいます。この取り組みは、小売店や飲食店だけでなく、将来的に鉄道やバスなどの公共交通機関や、自動車のドライブスルーといった幅広いシーンへの応用も視野に入れています。

UWB技術が変える未来の購買体験と「ポストNFC」への期待

今回の決済システムの中核となる超広帯域(UWB)無線は、物体の位置を数センチ単位という極めて高い精度で特定できる通信技術です。すでに米アップルの「AirTag」やスマートフォンのデジタルキーなどに採用されていますが、決済分野への本格的な活用は世界初の試みとなります。現在普及している近距離無線通信(NFC)は通信距離が最大10センチ程度に限定されますが、UWBは数十メートル離れた場所からでも位置特定や高速通信が可能なため、より自由度の高い決済体験が可能になります。

また、JCBとりそなHDは、ブロックチェーン技術を活用したステーブルコイン決済の実用化にも取り組んでいます。2026年2月からは、円建てや米ドル建てのステーブルコインを用いた実店舗での実証実験を渋谷などで開始しました。ステーブルコインは従来のクレジットカード決済に比べて仲介業者が少なく済むため、加盟店の手数料負担を大幅に軽減できるメリットがあります。UWBによる「ハンズフリー」という体験の進化と、ステーブルコインによる「コスト構造」の刷新という二軸の取り組みにより、次世代のキャッシュレス社会の姿が具体化しつつあります。

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