フジ・メディアHD、旧村上ファンド系に保有株売却を要請 合意不履行なら法的措置も示唆

フジ・メディアHD、旧村上ファンド系に保有株売却を要請 合意不履行なら法的措置も示唆

フジ・メディア・ホールディングス(フジHD)は25日、旧村上ファンド系の投資グループに対し、同社株の保有分を合意通り速やかに売却するよう書面で要請したと発表しました。 投資グループには、「物言う株主」として知られる投資家の村上世彰氏や、その長女である野村絢氏らが強い影響力を持っているとされています。 フジHDは、合意内容に反した行為が続く場合には、法的措置を取る可能性があることも示唆しました。

フジHDによると、同社と投資グループは2月3日付で、投資グループが保有するフジHD株を自社株買いに応じて売却し、その後も残存株式を速やかに売却すること、売却の意向を撤回しないことなどで合意したと説明しています。 この枠組みのもとで、フジHDは約2350億円規模の自社株買いを実施し、旧村上ファンド系が保有していたフジHD株の割合は、2025年9月時点での約17%超から、2月5日時点で4.34%へと大きく低下しました。

一方で、投資グループ側は2月13日に発表した声明で、「株価が低迷している状況では残存株式は売却できない」と主張し、フジHDの見解に異議を唱えました。 さらに、フジHD株価が自らの評価を大きく下回ると判断した場合には、同社株を再び買い付ける可能性があると明記し、追加取得の余地を残す姿勢を示しました。 こうした見解の相違から、フジHDが公表している「追加取得は行わないとの合意」と、村上氏側が主張する「市場環境次第では再取得もあり得る」との立場が食い違う構図となっています。

実際に、投資グループのフジHD株保有比率は、かつて17.95%に達していたものの、自社株買い後には4.34%まで低下しましたが、その後再び買い増しに動いたことが明らかになっています。 3月12日までに保有比率は5.76%に上昇し、関東財務局に提出された大量保有報告書で確認されています。 フジHDは、こうした新たな株式取得は2月の合意趣旨に反するとの立場から、25日付で質問状を送付し、「懸念を抱いている」と公に表明しました。

村上氏側は「正当な投資」と反論 今後のガバナンス議論に影響も

旧村上ファンド系の投資グループは、フジHD株の再取得について「株価水準や企業価値を踏まえた正当な投資行動だ」との姿勢をにじませており、2月13日の声明では、自社株買いに応じた残存分についても「妥当な価格での売却が困難」と説明しています。 また、フジHDが進める不動産事業の切り離しや資本効率の改善などに関しても、従来から株主として積極的に提案してきた経緯があり、今回の再取得もコーポレートガバナンスの観点から「物言う株主」としての役割を維持する狙いがあるとみられています。

市場では、村上氏側の買い増しが報じられた19日以降、フジHD株が日経平均の下落基調に逆行して上昇する場面も見られ、再び株主提案や経営関与への思惑が株価を押し上げたとの見方が出ています。 一方で、フジHD側は2月の自社株買いと旧村上ファンド系株主からの株式取得を通じて、持分構造とガバナンス体制の安定化を図ってきただけに、合意の解釈を巡り対立が深まれば、法廷闘争に発展するリスクも指摘されています。

日本企業とアクティビスト(物言う株主)との関係は近年多様化しており、経営改善につながる建設的な対話が進む一方、今回のように合意内容の認識がかみ合わず、改めて信認と透明性の在り方が問われるケースも出てきています。 フジHDと旧村上ファンド系投資グループの協議がどのような着地点を見いだすのかは、放送・メディア企業のガバナンスだけでなく、日本市場におけるアクティビストとの向き合い方にも影響を与える可能性があります。

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