特殊詐欺・SNS型投資詐欺の被害額が過去最悪に 刑法犯は4年連続増加

特殊詐欺・SNS型投資詐欺の被害額が過去最悪に 刑法犯は4年連続増加

2025年1年間に全国で認知された刑法犯の件数が77万4142件となり、4年連続で増加したことが警察庁のまとめで明らかになりました。​

認知件数は新型コロナ流行下で戦後最少を記録した2021年以降増加傾向が続いており、2025年はコロナ禍前の2019年の約74万9000件を3.4%上回っています。​経済活動や人の往来が戻る中で窃盗など身近な犯罪が増加しているほか、デジタル化の浸透に伴いサイバー犯罪やSNSを悪用した詐欺が治安を押し下げる要因となっているとみられます。

犯罪別では、依然として窃盗犯が大半を占め、全体の中核を成している状況です。
一方で、被害の深刻さという点で際立つのが特殊詐欺やSNS型投資詐欺、いわゆるロマンス詐欺の急増です。2025年に警察が把握したこれら三つを合わせた被害総額(暫定値)は約3241億1000万円に達し、前年から約1250億4000万円増、1.6倍という異例の伸びで、過去最悪だった前年の水準を大きく上回りました。

このうち、電話や郵便を悪用して現金やキャッシュカードをだまし取る特殊詐欺の被害額は1414億2000万円にのぼり、前年からほぼ倍増しました。「警察官」や「金融庁職員」などを名乗り、捜査や口座保全を口実にカードや現金を預かると偽る「ニセ警察詐欺」が全体を押し上げており、ある集計では特殊詐欺被害額の約7割を占めるとの分析も出ています。

SNS上での「必ずもうかる」「有名投資家が推奨」といった触れ込みで勧誘する投資詐欺や、恋愛感情に付け込んで送金を迫るロマンス詐欺も被害が拡大し、SNS型詐欺全体の被害額は1800億円前後に膨らんでいます。

こうした詐欺の特徴は、少額の繰り返しではなく、一件当たりの被害額が高額化している点です。
特にニセ警察詐欺では、捜査協力を装って数百万円から数千万円規模の資産をまとめて引き出させる手口が目立ち、被害者の生活基盤を一気に奪うケースが相次いでいます。
警察庁は、犯行グループが闇バイトで若者を「受け子」として勧誘する構図も依然として続いており、SNSを通じた犯罪参加のハードル低下が背景にあると分析しています。

重要犯罪も増加傾向にあります。​
殺人や強盗などの重要犯罪全体は前年から増加し、殺人事件は976件、強盗事件は1428件と、いずれも前年を上回りました。
警察庁が2025年10月に実施した治安に関する意識調査では、この10年間の日本の治安について「どちらかといえば悪くなった」「悪くなった」と回答した人が合わせて8割近くに達しており、体感治安の悪化も顕著になっています。

警察庁は総括として、日本の犯罪情勢は「厳しい状況にある」とし、刑法犯全体の増加と特殊詐欺・SNS型詐欺の急拡大を大きな懸念材料に挙げています。
今後は、高齢者だけでなく若年層も含めた幅広い世代への注意喚起や、金融機関・通信事業者との連携による送金遮断の仕組み強化、闇バイト募集の段階での摘発など、多角的な対策が一層求められます。
同庁は、ニセ警察詐欺をはじめとする高額被害型の詐欺に対する対策を急務と位置づけるとともに、組織運営を強化し、国民の期待と信頼に応えていくとしています。

拡大するニセ警察詐欺と求められる対策

特殊詐欺の中核となりつつあるニセ警察詐欺は、これまで高齢者を主な標的としてきましたが、近年は対象が若い世代にも広がっています。
勤務先や家族構成、金融資産など、日常的な会話やSNS投稿から得た情報を巧みに組み合わせ、「本物らしさ」を演出する事例も報告されています。
警察庁は、電話で警察官や公的機関を名乗る人物から口座情報や暗証番号、キャッシュカードの提出を求められた場合は詐欺を疑い、いったん電話を切ったうえで、公式の相談窓口や最寄りの警察署に確認するよう呼びかけています。

ニセ警察詐欺を含む特殊詐欺被害の拡大を食い止めるには、家族や地域ぐるみの予防策が不可欠です。
具体的には、家族間で「高額の振り込みやキャッシュカードの預かりを求められたら必ず相談する」といったルールを共有することや、自治体や警察による防犯講話への参加、留守番電話や迷惑電話対策機能の活用などが挙げられます。

また、闇バイトに安易に応募しないよう、若者向けに「高額報酬」「誰でもできる」などの文言で誘う募集広告が犯罪に直結するリスクを周知することも重要です。SNS型投資詐欺やロマンス詐欺については、実在の著名人や金融機関のロゴ、AI生成画像などを悪用して信頼感を装う手口が一般化しつつあります。

投資や副業に関する情報は必ず複数の公的機関や金融機関の公式情報を確認し、見知らぬアカウントからの「確実にもうかる」といった誘いには一切応じないことが、自衛の第一歩となります。
警察庁は、今後も犯罪情勢の変化を踏まえたデジタル時代の防犯対策を強化するとしており、行政・企業・市民が連携して巧妙化する詐欺に立ち向かえるかが問われています。

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