
政府が、中東情勢の緊迫化で高騰する原油価格の抑制に向け、原油先物市場への単独介入を本格的に検討していることが分かりました。 原油高がエネルギー輸入国である日本の貿易収支を悪化させ、外国為替市場での円安・ドル高を一段と押し下げているとの認識から、為替介入に用いる外国為替資金特別会計(外為特会)を活用し、原油価格の引き下げと円安是正を同時に図る狙いです。
具体的には、政府と日本銀行が外為特会を原資に原油先物を大量に売り出し、市場に下押し圧力をかける案が取り沙汰されています。 原油先物市場への政府・中銀による直接介入は前例がないとされ、実現性や効果については市場関係者から懐疑的な見方も根強い状況です。
背景には、米国とイスラエルによるイラン攻撃を受けた地政学リスクの高まりがあります。 米国産標準油種WTI原油先物価格は、攻撃前の1バレル60ドル台から一時100ドルを超え、111ドル近辺まで急騰する局面も見られました。 国際エネルギー機関(IEA)加盟国が石油備蓄の協調放出に踏み切ったものの、供給不安とホルムズ海峡封鎖懸念がくすぶり、原油高はなお高止まりしています。
一方、為替市場では「有事のドル買い」が強まり、ドル円相場は一時1ドル=158円台となり、160円台乗せも現実味を帯びる水準まで円安が進行しました。 エネルギー価格の上昇と円安進行が重なることで、輸入物価の一段の上昇や、景気減速と物価高が併存するスタグフレーションへの懸念も広がっています。
政府はこうした状況を受け、既に複数の金融機関に対し、原油先物市場の流動性やポジション動向、介入時の市場インパクトなどについて聞き取り調査を行っています。 政府関係者は、原油市場では投機筋による取引が相場変動を増幅しているとの見方を示し、「原油高を解消しなければ足元の円安の根本は断てない」と指摘しています。
市場には「手詰まり感」指摘も 投機規制や備蓄放出との組み合わせ焦点
もっとも、原油先物市場への公的介入を巡っては、市場関係者から「前例がなく、技術的にも難しい」「中東情勢による供給不安が主因であり、日本単独で価格水準を変えられる余地は限られる」といった慎重論が相次いでいます。金融機関の一部は「現実的ではない」として、政府が手段の一つとして可能性を探っている段階にとどまるとの見方を示しています。 為替も含めた一連の政策対応について、「中東リスクと米金融政策という外生要因が大きく、当局には手詰まり感が漂う」との指摘もあります。
政府内では、原油先物への直接介入に加え、国内外の商品取引の証拠金やポジションに対する規制強化、IEAを通じた追加の備蓄放出要請、省エネや再エネ投資の加速など、複数の選択肢を組み合わせる必要性も議論されています。
片山さつき財務相は、原油先物相場について「投機的な動きが為替にも影響していることが広く言われている」としたうえで、国民生活や企業活動への影響を踏まえ「いかなる時もあらゆる方面で、あらゆる場面で万全な対応を取る」と述べ、あらゆる政策手段を検討する姿勢を強調しています。 今後、政府が原油先物市場への介入をどの程度具体化させるのか、またその是非を巡る議論が国会や市場で一段と活発化しそうです。












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