伊予鉄グループ、完全無人運転「レベル4」の路線バスを営業運行 ソフトバンク系と協業

愛媛県の老舗交通企業である伊予鉄グループは、ソフトバンク系のBOLDLY(ボードリー)との協業により、特定条件下での完全無人運転を可能とする「レベル4」の路線バスの営業運行を、全国に先駆けて開始しました。

地方部では深刻な運転手不足によりバス路線の維持が困難になりつつあり、自動運転技術による省力化が切望されていました。

この自動運転バスは、伊予鉄道高浜線の高浜駅と松山観光港を結ぶ片道800メートルの区間を、1回230円の運賃で運行します。午前6時40分から午後9時50分まで、一部の時間帯では手動運転を交えつつ、1日60往復のペースで営業します。

「レベル4」は運転手なしでの走行が可能な自動運転レベルですが、万全の安全性を確保するため、当面は大型2種免許を保有する保安要員が同乗し、乗客の安全確認やドアの開閉操作、緊急時の手動運転などを担当する予定です。

自動運転のシステム設計はボードリー社が手がけ、車両には国内メーカー・EVモーターズ・ジャパンの電気自動車が採用されました。バス業界では、2030年までに約3万6,000人の運転手が不足すると予測されており、自動運転技術はその解決策として大きな期待が寄せられています。

初期投資として1億4,000万円が支給 国家プロジェクトとしての予算措置が不可欠

伊予鉄バスは自動運転バスの導入に際し、国土交通省の補助金を活用しています。松山市と伊予鉄バスのコンソーシアムには、初期投資として1億4,000万円が支給されましたが、運行維持に関するコストは含まれていません。

伊予鉄グループの清水一郎社長は、バックアップシステムなどの維持コストが莫大であり、国家プロジェクトとしての予算措置が不可欠だと訴えています。SOMPOインスティチュート・プラスの新添麻衣上級研究員も、システム更新に年間数千万円を要するなど、自治体や交通事業者の負担が大きいと指摘。

新添麻衣氏は、自動運転バスの低運賃運行よりも運転手の給与引き上げのほうが、交通課題解決には効果的だと提言しています。ただし、運転手不足の解消は難しく、コスト削減に向けた知見の集約が求められます。

伊予鉄道は、明治時代に小林信近氏が創設した歴史ある企業です。松山から三津間における交通機関改善の必要性を感じ、軽便鉄道の敷設認可を鉄道局に申請しました。愛媛経済の基盤を築くとともに、県議会議長や衆議院議員を務めるなど、地域発展に尽力しました。

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