
米製薬大手イーライ・リリーが4月17日に発表した経口肥満症治療薬「オルフォルグリプロン」の臨床試験結果が市場の期待に応え、同社株価は一時17%も急騰しました。
この第3相治験では、2型糖尿病を持つ患者が40週間で体重の7.9%減少を達成。試験終了後も減量効果が持続しており、さらなる体重減少の可能性も示唆されています。
この効果は競合するノボノルディスクの「オゼンピック」と同等レベルと評価され、JPモルガン・チェースのクリス・ショット氏は「非常に競争力の高い治療薬になる」との見解を示しました。
現在市場に出回っている肥満症薬は皮下注射型が主流で、需要増加による品不足が課題となっています。経口薬は製造効率が高く増産が容易なため、供給不足解消への期待が高まっています。
イーライ・リリーは既に約800億円相当の「発売前在庫」を計上しており、年内にも各国規制当局への承認申請を予定しています。肥満治療市場では米メルクやノボノルディスクも経口薬の開発を進めており、競争は一層激しくなると予想されます。
イーライリリー・アンド・カンパニーとはどんな会社?
イーライリリー・アンド・カンパニー(通称:イーライ・リリー)は、1876年5月にイーライリリー大佐によって創設された、150年近い歴史を持つ米国を代表する研究開発型製薬企業です。
インディアナ州インディアナポリスに本社を置き、「研究開発こそ企業の魂」という創業理念に忠実な経営を続けています。
2023年度の売上高は341億2,000万ドル、世界110ヶ国以上に製品を供給する真のグローバル企業として、約42,000名の社員を擁しています。特筆すべきは研究開発への積極的投資で、社員の約24%にあたる10,000名が研究開発に従事し、売上高の27.3%にあたる93億1,000万ドルを研究開発に投じています。
イーライ・リリーの企業文化は「Integrity(誠実さ)」「Excellence(卓越性の追求)」「Respect for People(人の尊重)」という3つの価値観に基づいており、「世界中の人々のより豊かな人生のため、革新的医薬品に思いやりを込めて」という企業使命を掲げています。
新薬開発には平均して10年の期間と26億ドルものコストがかかる厳しい業界において、イーライ・リリーは糖尿病治療薬、肥満症治療薬、がん治療薬などの分野で革新的な医薬品を次々と生み出し、患者のQOL向上に貢献し続けています。
最新の経口肥満症薬「オルフォルグリプロン」の成功は、同社の研究開発力の高さを示す好例といえるでしょう。