
カタール、巨額投資でショービズ界に本格参入 – 新たな勢力図は生まれるか
中東の小国ながら、豊富な石油と天然ガス資源を背景に、4億ドル相当の「空の宮殿」と称される専用機でアメリカ大統領専用機エアフォースワンの代替を提案したことでも話題となったカタールが、カンヌ国際映画祭の場で、その黎明期の映画・テレビ産業を次のレベルへと引き上げるという野心的な計画を明らかにした。
メディアシティ・カタールの中核を担い、国内のエンターテインメント産業の成長を促進する政府機関であるカタール・フィルム委員会は、ハッサン・アル・タワディ氏率いる代表団をカンヌに派遣。アル・タワディ氏は、2022 FIFAワールドカップ・カタール大会の成功を導いた敏腕弁護士として知られ、現在は映画ビジネスもその管轄下に収めている。
さらに、世界の映画業界に精通した複数の情報筋によれば、カタールの主要な投資家たちは、オリジナルコンテンツの共同出資や制作に関して、アメリカのエンターテインメント業界の幹部たちとの間で協議を開始。これは、常に新たな資金源を求めるハリウッドと、エネルギー部門からの脱却を図り、文化やメディアといったソフトパワーの分野への進出を目指すカタールの思惑が一致した動きといえる。
映画スタジオを取り巻く投資環境は厳しさを増している。ウォール街は、多くのスタジオがストリーミングサービスの立ち上げに巨額の資金を投じたことにより、収益化に時間がかかっている現状を懸念。エンターテインメント業界への投資に慎重な姿勢を示している。かつて有望視された中国などの海外市場も、アメリカのメディア企業から距離を置き、自国の映画やテレビ番組の制作に注力するようになっている。
こうした状況下で、カタールは今年、カンヌ国際映画祭のマーケットにおいて、これまでになく強い存在感を示すようになっている。
インディーズ映画界に新風 – ライアン・ワーナー、ネオンで新たなキャリアをスタート
アカデミー賞受賞スタジオ、NEON(ネオン)が、インディーズ映画界で確固たる地位を築いてきたベテラン、ライアン・ワーナー氏を新たな幹部として迎え入れた。
映画製作・配給会社「NEON」のCEO、トム・クイン氏は、ワーナー氏をグローバル・シネマ部門の社長という新設の役職に任命し、ワーナー氏は配給部門を統括し、ネオンが誇る作家性の強い作品を観客に届ける役割を担う。ワーナー氏は、自身が2014年に設立したアメリカの映画資金調達・配給会社、シネティック・メディアからネオンに加わる。
クイン氏は声明のなかで、「ライアンの映画に対するセンス、情熱、そして直感は計り知れません。彼の豊富な知識、幅広い人脈、そして輝かしい実績と力を合わせ、私たちは革新的な映画の最高の拠点としてネオンを成長させ続けることを楽しみにしています。私たちの興奮を言葉で表現することはできません」と述べている。